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じぱんぐ島 ~運命はサイコロが決める!?~ 【じぱんぐじま うんめいはさいころがきめる】 ジャンル ボードゲーム 対応機種 プレイステーション メディア CD-ROM 1枚 発売元 コナミ 開発元 ハムスター 発売日 1999年10月27日 定価 4,800円 プレイ人数 1~4人 セーブデータ 2ブロック使用 配信 ゲームアーカイブス 2007年6月28日/600円 判定 良作 概要 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 「カタンの開拓者たち」という名作ボードゲームの舞台を日本の戦国時代に移し独自のアレンジを加えた作品。 特徴 以下「カタンの開拓者たち」との違いを中心に特徴を挙げていく。基本的な部分についてはカタンと同様なので、まずはWikipediaの記事かニコニコ大百科の記事で基本のルールを理解した上で読み進めてもらいたい。 まず、前述の通り舞台は日本の戦国時代。ただし、あくまで「戦国時代の世界観をモデルにしている」だけなので別に武田信玄や織田信長が出てきたり実際の日本列島が登場したりはしない(*1)。 これに伴い「勝利ポイント」は「石高(10万石単位)」に、「家」「街」はそれぞれ「小城」「大城」に変更されている。 建物は3段階で発展する。最低ランクの「とりで」は石高を得られない。 資源の種類が木材、粘土、麦、鉄、羊毛の5種類から米、人、木、石、鉄、金の6種類に変わっている。 金は特殊な扱いの資源。通常では金が手に入る土地は出現しないため基本的に貿易でしか入手できない。 「7」の土地が存在する。このため最も資源を得やすい(=優秀な)土地は7になっている。 「一揆」(カタンの盗賊に相当)の出現条件が「7が出た時」から「ゾロ目が出た時」に変わっている。また一揆が発動しても資源が奪われることはないが、一揆の周りでは全ての兵士が動けなくなるため防衛に使える。 一揆はゾロ目を出したプレイヤーが好きな土地に置くことができ、置かれた土地では資源が手にはいらなくなり、その土地の数字が出る度に一気に資源が10ずつ貯まるようになる。貯まった資源は次回ゾロ目を出したプレイヤーがボーナスとして受け取れる。 プレイヤー間の交渉はできなくなっている。また貿易のレートが各プレイヤーの所持する資源量に応じて変動するようになっている。 資源が得られる通常の土地以外に特殊な土地が3種類存在する。 都は資源は一切得られないがこの周りに城を持っているだけで貿易のレートが有利になる。 荒れ地はそのままでは無価値だが、イベント「開拓」、「大開拓」でいずれかの土地にランダムで変化する。 未開地は一部のマップにしか登場せず初期配置で城を置けない唯一の土地。他の場所から道を伸ばすと荒れ地同様ランダムに変化する。 前述の金が手に入る土地は荒れ地か未開地の変化によってのみ出現する。 未開地がいきなり都に大発展したりするが気にしてはいけないのだろう。 最大の特徴は兵を作って他者の城に攻め込めること。 攻め落とした城は自分の物になる。カタンとの最大の違いといえる要素である。 カタンのチャンスカードを発展させたカードシステム。 「内政」「戦略」のおおまかなジャンルからカードを引ける。いずれもうまく活かせば戦局を有利に持っていける。 カタンの称号システム同様の大名システム。 カタンよりジャンルが増えている。 周期、ピンゾロの2種類のイベント。 周期はランダムで発生するイベント。ピンゾロは1、1のぞろ目が出た時にのみ起こるイベントで周期より強力。 その他細かい違い多数。 評価点 TVゲームではマイナーなカタンのゲームであること。 本作の本質的な面白さはカタンのそれである。しかし単なるゲーム化ではなく、そこにオリジナル要素を多数付け加えているのが本作の魅力である。 非常に高い戦略性。 「運命はサイコロが決める!?」というタイトルに反して本作の戦略性は非常に高い。 他人が建てた城を横から奪い取れば、資源を消費せずに高ランクの城が手に入る。当然、建てた方も奪われないための策を練る必要がありそこに駆け引きが生まれる。 もちろん他人の争いを横目に、ひたすら新天地に向けて領土を広げていってもいい。本作に「定石」はあっても「唯一解」はない。 カードやイベントのバランス調整も見事。基本的にイベントは全てのプレイヤーが影響をうけるため、上位層にとっては「下位を引き離す」、下位のプレイヤーにとっては「上位に追いつく」チャンスになる。 カードには引けば確実に勝てるようなバランスブレイカーも、引いただけで不利になるハズレカードも存在しない。いずれも「戦局を自分側に有利に傾ける」、程度の効果しかないがうまく活かせば確実にチャンスを作り出してくれる。 勝つための方策があれば多少サイコロの出目が悪くとも勝つことは可能。モノポリーなどと同様に「実力で運を引き込んでいく」ゲームといえるだろう。 グラフィックが丁寧。 説明書がモノクロだったりするので低予算で作られた作品なのは間違いないのだが、低予算だからと手を抜かず非常に丁寧に描かれている。 ポリゴンは使っていないがそれが逆に独特の温かみを生み出している。 PSクソゲーのお約束の一つに「予算も技術もないのにポリゴンを使って結局肝心のゲーム内容もポリゴン自体もメチャクチャに」というのがあるが本作は無縁である。 戦の背景がステージ毎に違うものになっているなど細かい所も。 個性豊かなCPU。 4人対戦の足りない人数を補うCPUの個性が非常に豊か。 単純に強さが違うだけでなく、好む戦略が全く異なる。 「戦争大好き」「カードを積極的に使用」「ひたすら道を繋いでとりでを建てる」…中には「うっかり戦略を間違える」「何を考えているのかわからない」という変わり種も。 事あるごとにオーバー気味なリアクションを返してくれる。 嬉しい時は大笑いしたり、踊ったり、分身したり、墨を吐いたりして喜びを表現する。逆に悲しい時はこちらが悪く感じるくらい落ち込む。 すず姫が可愛い。なんてったて黒髪ポニテ+強気サムライガールですぜ、ダンナ? BGMは目立たないがなかなかの良曲ぞろい。 あまり前にはでてこないがいずれもステージごとのイメージによくあっている。基本的にクリアまでずっと同じ曲であるため、あえて耳に障らないようにしたのだろうか。 特に「北の大地」のBGMは凛としつつ柔らかな良曲。 戦になれば激しい音楽になるなど状況に応じてちゃんと曲は変わっていく。 チュートリアル付き。 項目ごとにCPUが丁寧に解説してくれる。 やや複雑なルールだがチュートリアルを一通り見た上で1度プレイすれば大体の所は理解できるはずである。 地味に記録機能が豊富。 各人の戦績が「何の大名を何回取得したか」「何位を何回取ったか」などの細かいところまでしっかり記録される。 CPUの戦績も同様に記録される。さらに10回の試合をこなすと、今までの成績に応じて階級を付けてくれる機能もある(特にメリットがあるわけではないが)。 ゲームのテンポが良い。 4人参加型のボードゲームとしてはプレイ時間は短め。設定石高にもよるが長くても1時間程度。 城の強化、兵の配置などにはアニメーションが入るが全てボタン1つでスキップできる。 個々のアニメーションは短いとはいえ、積み重なれば阻害されるため良い配慮だろう。こういう細かい気配りがうれしい。 前述の通りポリゴンを使っていないこともあるのだろうが、ロード時間が短い。イベントや戦の前には一瞬暗転が入るが、ほぼ気にならないレベル。 賛否両論点 妙に緊張感がない。 戦国時代をモデルにしているにしてはキャラクターなども丸っこくかわいらしいデザインになっている。 戦の際の掛け声は「すすめー」「まもれー」、勝負がつけば「やったー」「まけたー」。 本作の味と言えば味であるがやってることはガチの天下統一なので…。 問題点 カタンをベースにしたとは言っても、実際のゲーム性はかなり異なる。 カタンではボード上の覇権は資源をより多く産出し、より効率よく拠点を発展させることで決まるが、このゲームでは派兵で奪えるので、鉄砲隊を作り攻めこませることで低リスクに版図を広げることが出来てしまう。 このため、カタンのような盤面配置とそれに基づく戦略を楽しむゲームというより、いかに少ない資源で派兵して奪うかというゲームになってしまっている。もちろん、鉄砲隊まで育てるには、それなりに内政を充実させないと育てにくいのだが、兵のランクアップは一律同じコストのため、道を伸ばして領土を広げるより低コストに感じる。 初心者と上級者の腕前の差が如実に表れる。 ハンデもなく、上級者側が手を抜き、参加CPUを弱いCPUのみに絞るぐらいしか初心者と上級者が対等に勝負する手段はない。 戦略性はあっても戦術性がない。 戦自体は互いにサイコロを振りあい数の大きい方が勝ちとなる。強い兵やランクの高い城は振れるサイコロの数が増えていく。 しかし、計算すればわかるが、サイコロの数が少ない方が多い方に勝つ確率は極端に低い。実質高ランクの兵に攻め込まれた時点で負けは確定である。 そういう状況に至らせないことも戦略のうちではあるが…。 敵CPUの頭があまりよろしくない。 内政に関してはそこまで酷くないのだが、戦争関連では兵を行ったり来たりさせるなど意味不明かつ、無駄な行動が目立つ。 これは高ランクのキャラでもあまり変わらない。むしろ最低ランクで一切の戦争を行わない「若」が無意味に動かない分、意外な発展をしたりする。 シナリオモードが運ゲー。 本作には1人であらかじめ用意された状況を戦い抜くシナリオモードが存在する。が、これがかなりの運ゲーになっている。 ほとんど攻め落とされる寸前だったり、CPUの石高が天下統一目前だったりしてサイコロの出目が悪いとそのまま負けかねない。 幸いセーブ、ロードに制限がないため良い目が出るまでロードを繰り返せばどのステージも勝てる。 …が、当然戦略もへったくれもなくなる。 最初の8つのマップをクリアすると隠しマップが順番に出現するがなぜか一番難しいのは最後から3つ目だったりする。 ちなみに出現させたマップはフリーモードで使えるが、シナリオモードでクリアしなくても出現させるだけで使えるというよくわからない仕様である。 総評 知る人ぞ知るPSの隠れた良作。高い戦略性ゆえに中毒性が高く、はまる人はとことんはまる。 しかし原作からして相当にマイナーなゲームであることは否めず、その存在を知らない人も多い。また中古市場を探しても意外に見つからないゲームである。 幸い現在ならばゲームアーカイブスから安価に手に入れることが可能なのでぜひともプレイしてもらいたい作品である。 余談 どうでもいいが資源の中に平然と「人」があるのは倫理的にアリなのだろうか。 普通に考えるならば労働力としての人なのだろうが、貿易でも使えるので人身売買にしか見えない。 しかも数える単位は「個」。いくら戦国時代でも人間とはここまでひどい扱いを受けるものなのだろうか。 直接的な描写があるわけでもないので、ゲームアーカイブスなどでは全年齢対象になっている。しかし裏読みすると本作は「人身売買が積極的にできる(そしてそのことについて非難されない)」という日本では珍しいゲームになる。
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スーパーファミスタ2 【すーぱーふぁみすたつー】 ジャンル スポーツ(野球) 対応機種 スーパーファミコン 発売・開発元 ナムコ 発売日 1993年3月12日 定価 7,900円 プレイ人数 1~2人 判定 なし ポイント 前作のシステムを引き継いで順当な発展形漢字表記の導入とナムコスターズ女子解禁ちょっと変わったオリジナルキャラ作成 ファミスタシリーズリンク 概要 内容 評価点 問題点 総評 その後の展開 余談 概要 1993年3月にナムコから発売された人気野球ゲーム『ファミスタ』シリーズのスーパーファミコン作品『スーパーファミスタ』の続編で『スーパー』シリーズ第2作目(他にファミコンで8作品、ゲームボーイで2作品あり)。 選手のステータスデータは1992年シーズン終了時準拠で、メンバー構成の年度では1992年・1993年の中間あたりになっている。 ファミコンやゲームボーイを含めた並びとしてはファミコンの『 93』とゲームボーイ『ファミスタ3』の中間に位置する。 根本的なゲーム性は前作『スーパーファミスタ』から引き継いでいるため、本項目では主に相違点を扱うものとする。 内容 主な変更点 DH制を導入。 パ・リーグのチームが後攻の場合のみ適用される。これは直前のファミコンシリーズの『 93』で導入済み。 ただ『 93』では2リーグ制が導入されていたが本作は旧来通り1リーグ制。 今までは必ず1P時はプレイヤーが先攻だったが、後攻になることもある。 それに伴って各チームのユニフォームデザインもホーム用ビジター用と2パターン用意さた(前回ではスペシャルチームがビジターユニフォームを着ていた)。 ステータス表示の進化。 選手の名前に漢字が使われるようになった。ナムコスターズの選手にもカタカナや漢字表記が使われるようになった。 ナムコスターズは今までキャラグラのせいか男性しか出ていなかったがワルキューレやワンダーモモなど女性選手も登場している(ただしグラは他と同じ)。 チーム表記が現実で使われているロゴがそのまま使われるようになった。 従来の汎用フォントによる略号表示はイニング間のスコアボードでのみ使用されている。 スペシャルチームが12球団のOB再現(ステータスのみ)ではなく完全オリジナルとなり、その連合が専用チーム「アッシーズ」「カットバス」「ヤクタターズ」の3枠になっている この3チームは、枠こそ3枠だがその中身は1枠につき4チームが入っており、その中身は選択するまでわからない。「アッシーズ」俊足な選手が集まっている。中にはあの「ピノ」を凌駕するほどの足を持っている選手もいるほど。また投手も速球派が多い。「カットバス」4番クラスの強打者がズラリ並んでいるパワーチーム。反面投手は球速が遅めでパワーのイメージとは正反対。打たせて打つスタイルと言った方がわかりやすい。「ヤクタターズ」名前の通りダメなヤツ下位選手の集まり…のように見えるが、守備は上手かったり球速や変化球が強かったりとチームによっては光る部分もある。 ドラフトの選手ランクは前作通りだがSランクの選手は本当に超強力で、かなり限られた人数しかおらずリストに並ばないことも当り前にある。 試合後の新聞による結果告知の画面でセーブも記録されるようになった。 監督まで12球団での実名が取り入れられている。オリジナルチームの監督は下記の通り。 ナムコスターズ → まさやん(ナムコ社長の中村雅哉氏) アッシーズ → ひでぼう(プログラマの佐々木英隆氏) カットバス → おはやし(ゲームデザイナの林幸人氏) ヤクタターズ → しましま(ゲームデザイナの島本昌弘氏) いずれもナムコのスタッフをルーツとしている。 前作では開発時期の都合により架空デザインとなっていた千葉ロッテマリーンズの球団旗・ユニフォームが、本作では当時のデザインに則したものとなった。 新モード「きみがヒーロー」 オリジナルの選手を作り12球団の中から好きなチームに入れて公式戦を行うモード。 ファミコンシリーズの『 90』のリーグモードでの助っ人機能にも似ているが、その発展形のようなものになっている。 ①最初に「めざせ!エース!」「めざせ!4番!!」からモードを選択。 前者はピッチャー、後者は野手になる。 ②名前を入力(5文字まで)。 ③誕生日、利き腕、打席、好きな色を決める。 ④5問の性格テストが行われる。 3択式で聞かれるが、性格判断にしてはネタに近いのも多々ある。質問例好きな野球選手の写真が手に入りました。どこに飾る?「机の引き出し」「テレビの上」「ベッド」お風呂に入る時どこから入る?「右足から」「左足から」「頭から飛び込む」 これらをもとに能力が決定されていく。進行しながら顔マークが変化し笑顔になるほど能力が上がり、怒った顔ほど能力が下がる。 ⑤完成した選手が発表される。既存のどの選手と入れ替えるかを決めて(*1)試合開始。 ドラフトと違って既存ポジションのレギュラーと強制入れ替えではないので、あからさまに穴になっている選手を外すことができる。 1P時は選手が発表されたタイミングで気に入らなければやり直しが可能。またパスワードが発行されるので、これをメモしておけばいつでも同じ選手で始めることができる。 このモードでの試合は1試合のみでコンティニュー用パスワードも発行されない。 しかし、上記のパスワードを「よびだせ!ヒーロー(1・2)」で名前と一緒に入れることで公式戦のチームに紐づけることができる。 ヒーローに入ったチームは金色の選手の顔アイコンが付加されている。 これにより公式戦を行うことが可能。 オールスター ご存じ、セ・パ12球団の選手が連合して戦う球宴。 ファミコンシリーズの『 92』にも存在したが、方式が若干異なっている。 まず、各ポジションごとに投票状況が表示される。 そのまま放っておけば1位の選手が出場することになるのだが、プレイヤーも 100万票 持っており、1万票単位で投票できる。これにより順位を入れ替えることができる。 現実でやったら酷い不正だ ファン投票が終わったら、監督推薦の選手が発表される(これは自動且つ強制)。 オールスターの試合では現実同様にピッチャーは3イニングを投げると強制交替となる。 球場ラインナップ 球場名 モデル球場 両翼 中堅 芝 神宮の森 東京ドーム 91m 120m 人工 六甲山 阪神甲子園球場 97m 120m 天然 アメリカン オリジナル 100m 125m 天然 六甲山は前作の「ろっこう」と同じモデルなので事実上の続投。 廃止されたもの 1つのチームを2分して行う「紅白戦」が前作限りで廃止。 上記の通りスペシャルチームが一新され、OB再現(ステータスのみ)のスペシャルチームや、アメリカンズ(メジャーモデルの選手だが名前はアメリカの地名)が廃止。 アメリカンズは後に『スーパーファミスタ5』(1996年3月発売)で再登場。 評価点 相変わらずのシンプルイズベストな設計。 基本的なシステムは前作のままなのでサクサク進められる試合テンポは良好。 漢字表記の導入で実名らしさが増した。 過去作からもしっかり良い部分を取り入れ、それも発展形に進化している。 ただのオールスターチームはFCの『 93』、GBの『2』にもあり、選出式のシステムは『 92』にも存在したが全自動だったのとは違いプレイヤー自身にも投票権があり、候補者をから選ぶような形を取っているなど新しい趣向も取り入れられている。 オリジナルキャラ作成の「きみがヒーロー」は、ファミコンでのエディットやリーグモードの助っ人オリジナルキャラとはまた一味違った楽しみ方がある。 自由が効かない点は否定的に見える一面もあるが、これまでにない試みで正直に答えると「どんな選手ができるのか?」といった楽しみ方に転化できている。質問の内容もなかなかユニークなものが多い。 また、質問の答え方に応じて顔の表情が変化するなど、まんざら指標がないわけでもない。 ポジションを自由に選べるなど『スーパー』シリーズで前作から続投したドラフトとも差別化ができている。 再開時の選手の登録はパスワード制ながら7文字と短いため手間が小さい。 質問の答え方によっては球速40キロくらいの投手ができることもあるが、実際に登板させると十字キーの左右で滅茶苦茶に変化させることができたりとこれも楽しい。 問題点 捕球エラーの多さ。 前作に比べると捕球時のエラーが出る確率がかなり増している。 微妙なバウンドなどで起きる分にはリアルっぽくて何ら問題ないが、イージーなフライや何でもない内野ゴロまでポロポロエラーするのはプロらしくない。 自由のきかないオリジナル選手作成。 評価点とは裏腹に「何を答えればどの能力が上がる」という目安がないせいで自分のイメージ通りの選手にならないことが当り前にある。上記の顔変化も事後報告でしかない。 何が出るわからないビックリ箱的要素なので仕方ないと言えば仕方ないが。 自由に選べないスペシャル3チーム。 前作のようなOB再現から一転「アッシーズ」「カットバス」「ヤクタターズ」と完全オリジナルになったわけだが、中身が4チームずつ入っているのでその自由がきかない。 「きみがヒーロー」に準えた何が出るわからないビックリ箱的要素を狙ったとしても、チーム選択でそのような趣向はかえって不便なだけに感じられる。 相変わらず球場ラインナップが少なく、特徴も際立たないものが多い。 これは『 90』をピークに以後退化気味でファミコンの『 92』以降横ばい傾向。 漢字表記導入の反動というのもあるが、ドラフトや「きみがヒーロー」による架空選手が平仮名・片仮名表記のため、名前によっては周りから浮いて見えやすい一面もある。 福岡ダイエーホークスのみ、ユニフォームのホーム・ビジターの設定がアベコベになってしまっている。 総評 スーパーファミコンとしての基本形となった前作のシステムを引き継いで、漢字表記の導入や新しいモードなどを追加し『スーパーファミスタ』最初の発展形。 派手に変わった印象はないものの、とりあえず基本形だった前作から順当なグレードアップをしており、またオリジナルキャラの作成やオールスターなど、過去作のファミコンシリーズからも良い部分は取り入れている。 前作との比較観点では旧来のファミコンナンバリングでの進歩ペースと同程度でどちらかといえば「マイナーチェンジ+α」という程度だが、良くも悪くもファミスタらしさは健在。 その後の展開 直近では1993年10月29日にゲームボーイでの3作目『ファミスタ3』を発売。 周辺機器「バーコードボーイ」に対応し、バーコードデータを選手データ化してオリジナルチームを作ることができる。 またバッテリーバックアップもゲームボーイシリーズでは初搭載している。ファミコンを含めても『 90』以来。 他に本作で登場する「アッシーズ」のうちの1チームが隠しチーム「ダイナミック関西」として登場する。 ファミコンでの年度ナンバリングでの続編は1993年12月1日に『ファミスタ 94』を発売。 ファミコンの年度ナンバリングでは最終作であり、ナムコのファミコン用ソフトとしても最後の作品となった。またファミコンの野球ゲームという観点でも最後の作品となった(*2)。 ゲームそのものは野球のみのシンプル路線になり前作『 93』でスリムになった選手は本作同様元通りずんぐり体形に戻っている。 『スーパー』のシリーズでは3作目『スーパーファミスタ3』を1994年3月4日に発売。 前作と本作はさほど差がない「マイナーチェンジ+α」程度だったが、この作品では選手のグラフィックが旧来を踏襲しつつ一新し、BGMが歓声混じりになったりファインプレーなどのアクションもスムーズになるなど試合のシステムそのものまで進化したものになっている。 またファミスタシリーズ初の130試合のリーグ制を導入している(*3)。それに合わせてバッテリーバックアップを『スーパー』シリーズ初導入。またデーゲームとナイターを選択できるようになるなどリアル路線を追求している。その反面球場のバリエーションは2つと更に減少した。 上記『 94』でファミコンの年度ナンバリングシリーズが終焉を迎えたためこの作品以降『スーパー』のシリーズに一本化される。 余談 本作も前作同様選手データは発売時期の都合で1992年オフをすべて網羅できていない。 そんな中で、さっそく後の巨人のスター選手「ゴジラ」こと松井秀喜が収録されている。 プロでは専ら外野手だったが当時は高校時代に準じて三塁手扱いとなっている。 本作のナムコスターズに『カニカニパニック』(1991年から稼働している筐体ゲームで『ワニワニパニック』のスピンオフ)から「カニカニ」が登場している。 『 87』にいた「かにかに」は『さんまの名探偵』のカニカーソルなので、はじめてナムコスターズで「同名の別人」が登場したことになる(*4)。 本作の対応年度より横浜大洋ホエールズ(略語 W)が横浜ベイスターズに改称したことで、オリックス・ブルーウェーブ(及び前身の阪急/オリックス・ブレーブス)、近鉄バファローズと合わせて頭文字Bのチームが3つ存在することとなった。 各チームの略号は現実の慣例ではベイスターズ=YB、ブルーウェーブ=BW、バファローズ=Buとしていたのに対し、本作や以降暫くのシリーズ作品ではベイスターズ=Bs、ブルーウェーブ=B(前作及びブレーブス時代から継続)と扱われた(バファローズ=Buはそのまま)。また、ブルーウェーブのBW表記はシリーズ全体で見ても非常に稀であった。 2004年オフにオリックスと近鉄の合併により誕生したオリックス・バファローズは、2005〜2018年度まで略号をBsとしていたため、奇しくも本作とは真逆の事態となっていた。 横浜は2011年オフに球団運営権がTBSからDeNAに譲渡され、2012年度からはDBを略号としている。 2019年度より、オリックスは略号を本作やブレーブス時代と同じBに改めている。
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仮面ライダー クライマックスヒーローズW 【かめんらいだー くらいまっくすひーろーずだぶる】 ジャンル ヒーローアクション 対応機種 Wii 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 エイティング 発売日 2009年12月3日 定価 5,980円(税別) プレイ人数 1~2人 レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 なし ポイント クソゲーすれすれの出来ガッカリの上塗り新キャラがやっつけ変わり映えしない続投組難易度が地獄新要素あるのに劣化移植な気分 仮面ライダー対戦格闘シリーズリンク 概要 登場キャラクター 改善点 問題点 キャラクター関係 ゲームモード 総評 余談 俺たちは / 僕たちは、二人で一人の仮面ライダーさ 概要 同年8月に発売されたPS2用ソフト『仮面ライダー クライマックスヒーローズ』の次作(実質的な移植版)で、新モードと新キャラクターを追加したもの。 ただし、当時の現行ライダーであった仮面ライダーWをメインにしているため前作に存在したストーリーモードの「ディケイドモード」は削除された。 前作はキャラとフォームが数・選定基準共にファンの首を傾げさせるものであり、キャラゲーとしても格闘ゲームとしても中途半端な出来であったため、「完全版」となることを期待されたのだが…。 登場キャラクター 前作の対戦モードで使用できたキャラは全員続投しており、前作に登場はしていたが、対戦では使えなかった面々もプレイアブル化している。太文字はオリジナルキャスト、 赤文字 は今作が初登場のキャラクター。 登場作品 キャラクター 登場形態 仮面ライダークウガ 仮面ライダークウガ マイティ・ドラゴン・ペガサス・タイタン・アメイジングマイティ 仮面ライダーアギト 仮面ライダーアギト グランド・トリニティ・バーニング 仮面ライダーG3-X 仮面ライダー龍騎 仮面ライダー龍騎 通常形態・サバイブ 仮面ライダー王蛇(*1) ゲルニュート EPISODE FINAL 仮面ライダーリュウガ 仮面ライダー555 仮面ライダーファイズ 通常形態・アクセル 仮面ライダーカイザ オートバジン バトルモードのみ 仮面ライダー剣 仮面ライダーブレイド 通常形態・キング 仮面ライダー響鬼 仮面ライダー響鬼 通常形態・響鬼 紅 仮面ライダーカブト 仮面ライダーカブト ライダーフォームのみ 仮面ライダーガタック ライダーフォームのみ 仮面ライダーキックホッパー 仮面ライダーパンチホッパー 仮面ライダーダークカブト ライダーフォームのみ ワームサナギ体(緑) 仮面ライダー電王 仮面ライダー電王 ソード・ロッド・アックス・ガン・ライナー 仮面ライダーゼロノス アルタイル・ベガ・ゼロ クライマックス刑事 仮面ライダーネガ電王 ネガフォームのみ 仮面ライダーキバ 仮面ライダーキバ キバ・エンペラー 仮面ライダーイクサ(*2) セーブ・バースト 仮面ライダーディケイド 仮面ライダーディケイド 通常形態・カメンライド(クウガ~キバまで)・コンプリート 仮面ライダーディエンド 通常形態のみ 仮面ライダーW 仮面ライダーW (*3) マグマ・ドーパント ティーレックス・ドーパント ゲームオリジナル 仮面ライダーダークディケイド 通常形態・カメンライド(クウガ~キバまで)・コンプリート 改善点 一部効果音の追加、修正(電王のフォームチェンジ音など)。 バトルモードが、前作に無かったフリーバトルモード化した。 一方でアーケートバトルがなくなったのでサバイバル以外では1戦しか戦えなくなってしまった。 かんたんモードは好評で次作以降にも取り入れられた。 ハードのスペックが上昇したからなのか、グラフィックの細かい部分が綺麗になっている。 キックホッパーとパンチホッパー(地獄兄弟)の追加は、当時はデータカードダス『ガンバライド』での参戦(*4)がまだであったため喜ばれた。 メインライダーのWのみはポリゴンモデルが手直され、『ガンバライド』とは別物と言ってもいいほど綺麗になり、劇中のものに近くなった。 現時点では、超必殺技発動時でもステージのグラフィックが全く変わらない最後のクラヒ。 次作の『オーズ』からは携帯機とのマルチになった影響か、超必殺技を使う時に背景が謎の異空間になってしまう。 最新作の『超』では改善されているが、超必殺技発動時のみ一部オブジェクトを削除・簡略化した低容量バージョンの背景に差し替えるなど無理やり誤魔化している感はある。 問題点 キャラクター関係 前作からの続投組は、基本的に前作と同一の性能。フォームも同じ。 ディエンドのチートぶりも相変わらず。 やりづらくはなったがスライディングハメは健在。 ディケイド・ディエンドの効果音や、キバの必殺技ボイスのミスも修正されていない。それ以外にも微妙に間違っているものが若干ある。 一部のキャラは攻撃力が大幅に削られ、必殺技ですら通常技程度になっているなど、意味不明な調整をされている。 特に響鬼はどう連打しても音撃が8までしかヒットしないというあんまりな事になっている。 それでいてディエンドの異常な強さ、デンライナーの異常な便利さ等、改善すべきところが全く改善されていない。 前作の対戦で使用できなかった6キャラは、ガタックとダークカブトにクロックアップが実装されただけで、それ以外は本当にただ対戦で使えるようになっただけ。 特にオートバジンは、スーパーアーマー能力はあるものの、攻撃はパンチ技2種類だけ。バスターホイールでの射撃もできない。 ダークライダー3体は相変わらず超必殺技がない「元ライダーの劣化コピー」。モデル流用で出せそうなドラグブラッカーやネガデンライナーもアシストで出ない。 ただし、ドラグブラッカーはリュウガのドラゴンライダーキックには出てくるという謎仕様。おまけにモーションが龍騎の完全流用なせいでドラゴンライダーキックが龍騎とまったく同一の動き。本来は空中に浮遊しそこからキックを放つ技であるため、リュウガファンからは特に批判された。 ほぼ水増しレベルとはいえカブトキャラが露骨に優遇されている。 基本的に本作は1作品で多くて3体しか出ないが、カブト関連はカブト、ガタック、キックホッパー、パンチホッパー、ダークカブト、サナギ体と合計6体も出ている。 しかも他のテキトーなキャラバリキャラはフォームチェンジは無いのに、カブト関連だけは共通・流用で手間が少ないとはいえサナギ体以外全員クロックアップ実装と半端ではない優遇度合い。 Wに関しては、基本的なハーフチェンジは全てできるためフォーム数が充実している。さらに、他のキャラに対して圧倒的にアドバンテージがあるため異様に強くなっており、他にも通常技だけで体力1ゲージを軽く削れたりもする。 しかし当時の現行ライダーであるので、メイン層である子供のことを考えると強くしなければならなかったのだろう。前作メインライダーのディケイドも『オーズ』で修正が入るまではなかなかスキの少ないライダーだった。 一方、『剣』と『響鬼』からは相変わらず主役ライダー1体しか出ていない。しかも響鬼は上記の通り前作からかなり弱体化している。 ホッパー2体は、オリジナルキャストである徳山秀典氏と内山眞人氏がそれぞれ声を当てている。ただしモードセレクト時のボイスは、前作のイマジン達の様な凝った言い回しはなく、ただ「○○モード」と言うだけ。 『カブト』のキャラ達のクロックアップ時、リモコンからゼクター音声ではなくライダー自身の声が流れる。クロックオーバー音声は当然聞けない。 怪人キャラが新登場するという点は、公式ブログでも強調されていたが、結局前宣伝に出た4体のみだった。 現行番組に登場したドーパント2体と、平成1期としては珍しい戦闘員的存在のサナギ体はともかく、なぜか『龍騎』劇中で特別活躍したわけでも無かったゲルニュートがいる。おそらく、本作と同じ月に北米で発売されたWii版『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』のポリゴンモデル流用で手間が少ないためと、発売年の春映画『鬼ヶ島の戦艦』で戦闘員的存在で出たのが理由と思われる。 カイザや地獄兄弟の新規参戦は喜ばれたが、難易度の調整不足、パスワードの無茶さで子供には到底出せないものになっている。 『オーズ』では作業ながらも2体の隠しキャラ中なんとか1体は出せるようになってはいる。 ゲームモード 前作のディケイドモードに代わって用意された「クライマックスモード」だが、ディケイドモードと違ってストーリー性は一切ない。 ただザコ怪人(サナギ体とゲルニュートの2種類のみ)を倒してボスに挑むだけ。前作以上の作業感がある。ボスはドーパント2体のどちらかになるが、ライフゲージが6重もある。 これはアシストライダーシステムを使うこと前提のようだ。Wのミッションを難なくクリアするためには他のライダーのルートをクリアしてアシストライダーシステムで呼び出せるようにしなければならない。が、他のライダーのルートでもライフゲージが6重の怪人が登場するので作業な上に苦痛である。 しかも、その気になればスライディングでハメ殺せるため、実質このアシストライダーシステムは完全に死にシステムである。 「時間内に怪人を倒せ!」というミッションは怪人を倒すたびに時間が加算されていく。そこまではよいが、ミッションによっては怪人を倒し続けるといつまで経っても終わらないほど時間が大きく加算されてしまう。そのため、ミッションを終えるときはわざと敵を倒さないなど工夫しなければならない。 また、ホッパー2体にちなんでか「地獄モード」というものがあるがまさに地獄で明らかに子供には無理な難易度である。例として「サナギ体で地獄兄弟を倒せ」など。 上記のように今作は何故か難易度が異常に高く、明らかに子供が簡単に出来るものではない。 しかもキャラのCPUレベルもありえないほど高くなっており、ノーマルで前作のハード以上の強さ。 戦い方もかなり酷く、フォームチェンジ中はゲージが使い放題なので、スライディング等の軽い攻撃を当てた時でさえやたらスペシャルアタック及びガードを使う。ゲージがたまっていればスペシャルアタックはまず使うと言ってよいほど。 同キャラ対戦はできない。この仕様自体は『アギト』以降毎回そうなっているが、本作にはとんでもない副産物が存在していた。 新規使用可能キャラ 前作からの使用可能キャラ ガタック クウガ G3-X アギト リュウガ 龍騎 カイザ ファイズ オートバジン ブレイド サナギ体 響鬼 ダークカブト カブト ネガ電王 電王 ゲルニュート キバ マグマ・ドーパント ディエンド キックホッパー ゼロノス パンチホッパー イクサ ティーレックス・ドーパント ダークディケイド 左側のキャラ(つまりW以外の新規使用可能キャラ全員)はそれぞれ右側キャラのコンパチ的な扱いになっており、左右の組み合わせでは対戦させることができない。即ち「龍騎VSリュウガ」「ファイズVSカイザ」「カブトVSダークカブト」「電王VSネガ電王」といった原作での因縁の対決、「クウガVSガタック」のクワガタをモチーフとしたライダー対決、「アギトVSG3-X」のアギトキャラ同士の対決が再現できない。 付け加えておくと「クウガVSガタック」以外の組み合わせは全員対戦前の掛け合いが存在している。 さらに新キャラが、W以外全てあんまりすぎる出来なので一部からは「バージョンアップなのに劣化移植作を掴まされた気分だ」とも言われている。 総評 移植版とはいっても前作のコピペというわけではなく、追加要素もあり前作からのバランス調整(らしき変更)も行われている。 しかし、追加キャラクターはW以外どうにもやっつけ感が目立ち、強キャラにバランス調整が入らないなど全く調整になっていない。 例えるなら「3歩進んだと思ったら今度は斜め後ろに2歩下がった」ような微妙な出来になってしまっており、ファンからの評価は前作同様厳しいものとなってしまった。 余談 特典のガンバライドカードは表と裏のバーコードが違う仕様で、ディケイド コンプリートとW サイクロンジョーカーが1枚のカードで別々にスキャン可能。 本来東映スタッフがキバの後Wを作ろうとしていた所にバンダイからの過去作販促のアーカイブと戦隊玩具の兼ね合いで開始時期をずらせ、オリキャス集合映画もやれと言われ色々な企画ができた後にガンバライドの販促もすることになり本来ガンバライドのオリライダーとして制作していたディケイドの番組を企画することになった。そのため無茶苦茶な納期と放送開始前から開発し更に本作と無印を同時開発するというスケジュールとなっており、実際、当時の開発ブログにてサタケイドが同時開発を仄めかす文を投稿していた。 この同時開発が両作品のクオリティに影響を及ぼした可能性もあるが、真相は不明。 スタッフロールに記載された制作会社はバンダイナムコゲームスとエイティングの社名しか無いが、実際の開発はタムソフトに丸投げしたのではないかという疑惑がある。 詳細は無印の項目の余談を参照。
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カエルの為に鐘は鳴る 【かえるのためにかねはなる】 ジャンル アクションRPG 対応機種 ゲームボーイ 発売元 任天堂 開発元 任天堂インテリジェントシステムズ 発売日 1992年9月14日 定価 3,800円(税別) 配信 バーチャルコンソール【3DS】2012年9月5日/411円(税込) 書換 ニンテンドウパワー2000年3月1日/800円/F×4・B×1 レーティング CERO A (全年齢対象) セーブデータ 2個 判定 良作 ポイント カエルとヘビに変身して謎を解くテンポのよいコミカルなストーリー戦闘は文字通りのオートバトル ストーリー 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 ストーリー むかしむかしあるところにカスタード王国とサブレ王国という、仲のよいふたつの国がありました。そして、それぞれの国には同じ年頃の王子サマがおりました。カスタード王国のリチャードは、ちょっぴりおシャレでクールな王子サマ。サブレ王国の王子(*1)は単細胞で熱血漢、情にはもろいお金持ちのおぼっちゃま。ふたりは良きライバルでしたが、剣術の試合だけはなぜかリチャードに勝てないサブレ王子でした。そんなある日、ふたりのもとに大変なニュースが届きました。絶世の美女とうわさの高い「ティラミス姫」の治めるミルフィーユ王国が、悪の大魔王「デラーリン」率いる「ゲロニアン軍団」に占領されてしまったのです。さあたいへん! ふたりは姫を助けるため、ミルフィーユ王国に向けて旅立つのでした。(VC版説明書より) 特徴 フィールドマップと町中ではRPGのような見下ろし型視点、ダンジョンでは真横視点の謎解き・探索重視の2Dアクションの要素があるアクションRPG。ハートによるライフ表示(ハート1個が4段階に分かれる)、回復アイテムを入れる瓶、重い物を動かせるようになるアイテム、最強の盾といった特徴はゼルダの伝説シリーズを髣髴とさせる。 公式やCMでは『変身ギャグベンチャー』と銘打たれている。 戦闘は、敵とぶつかるだけで勝手に戦闘が進むオートバトル。運要素は一切なく、主人公のステータスが一定以上あれば確実に勝利できる(能力差が大きいときは触れた瞬間に敵を弾き飛ばして勝利になる)が、足りないときにはザコ敵にも勝てなくなる。 ステータスはストーリーを進めてアイテムを手に入れることでパワーアップしていく。このパワーアップは実質的に、ボス攻略のためのフラグ立てでもある。 プレイヤーが戦闘中にできることはBボタンで選択できる「逃げる」か「アイテム使用」のみ。ボス戦では逃げられず、アイテムも「使う隙が無い」というメッセージが出て使えない場合が多い。 ストーリーを進めていくと、水に浸かったときにカエルに、温泉卵を食べたときにヘビに変身できるようになり、倒れるか食べると気持ちよくなって気絶する果実を使用することで人間に戻る。人間・カエル・ヘビの3つの姿をうまく使い分ける謎解きアクションが本作のキモである。 人間の姿は戦闘能力が最も高く、重いブロックを押して動かせる、人間キャラと会話できるなど、総じて基本形態といったところ。 王子は泳げない設定であり、カエルに変身できないうちは水に入るとどんどんライフが減り、最後には倒れてしまう。 カエルの姿になるとジャンプ力が格段に向上し、水の中も自在に移動できるが、戦闘能力は著しく低下し、ヘビ相手だと無力になる。 虫系の敵に対しては食べる事で一方的に倒せるうえに、1匹につきライフが1回復する。一定の時期まではゲロニアン兵に話しかけることでエサをもらい、ライフを回復することもできる。 ヘビになるとジャンプ力は皆無になる(1ブロック分の高さならはい上がれる)が、細い通路を這い進める。 自分より弱い敵ははじき飛ばすか、噛み付いて「ブロック」にするかを選択出来る。このブロックは足場として利用できたり、人間の状態で押して動かせたりする。 ヘビ相手と会話することができ、ゲロニアン兵に話しかけると苛められ、カエルに話しかけると(例外はあるが)逃げられる。 アイテムの日記帳を使うことで、どこでもセーブが可能。 セーブを行うと「にっきをみる」という項目でこれまでのストーリーのあらすじを見る事が出来る。 あらすじ機能は後世のRPG定番のシステムになっていくが、初出は今作と思われる。 ゲームボーイでは珍しく、漢字カナ混じりのテキスト。 使用されている漢字は102種類と少ないものの、十分に漢字が使われている印象を受ける。 「 怒 声 」「 驚 愕 」など、場面に応じて文字サイズが四倍角になる。特徴的なSEも同時に流れるのでインパクト抜群。 登場人物はみな非常に個性的。 熱血漢な主人公とクールなライバルがさらわれたお姫様を助けに行く...というところまでは王道だが、最初は事あるごとに金の力で問題を解決しようとする主人公。そしてそんな主人公を利用するかのごとく、要所要所のイベントで超高額の金を要求される。 主人公が大金を使うのは「他に手段がない時」「とにかく急がなければならない時」「貧乏な子供が、なけなしの物資を自分のために使ってくれたお礼」などであり、嫌味な点は全くない。もちろん金でなく自分の力で解決しようとする意思もある。「金の力に物を言わせる」のではなく、「正義のためにはどんな損失も恐れない」という好感の持てる主人公である。 主人公の旅路を度々かき乱してくる魔女マンドラ、片言でしゃべるアルフレド・じんべぇ、発明家アレヲ=シタイン博士など印象に残りやすいキャラが多い。 (強力な)仲間と一時的に同行できるのも、後の『ゼルダの伝説 夢をみる島』のワンワンなどに通ずるものがある。 評価点 ゲームバランスのよさ 戦闘の結果はステータスに応じて決まってしまうが、ザコ敵相手であれば逃げてやり直すことができるし、シンボルエンカウントであるために、戦闘そのものを避けることもできる。 逆に、敵よりも王子の方が圧倒的に強い場合は、触れた瞬間敵を弾き飛ばして勝利できる様になっている。独特の戦闘システムが煩わしくならないように工夫されている。 ボス戦は現時点で手に入る最大のステータス、最強の武器と防具を取得し、ライフ満タンで挑んでライフ1つを残したギリギリの状態で勝てるというバランスで設定されている。 ダンジョンの謎解きは複雑すぎず簡単すぎずという絶妙な難易度で、人間・ヘビになる必要がある場所では変身アイテムが宝箱に入っている親切設計。一方でジャンプをミスると敵に囲まれる場所で無力なカエルになるトラップもある。 ライフがゼロになってもゲームオーバーにはならず、最後に訪れた町の病院に送られるだけでペナルティは無い。 ライフの回復も、病院だとハート1個につき2クリと安価で行える上、各地に点在する「イケイケだま」という水晶玉に触れるとその場でライフが全快する。 コミカルなストーリー シナリオ担当はファミコン探偵倶楽部シリーズを手掛けた坂本賀勇氏。 パロディやジョークがあちこちに散りばめられており、斜め上にプレイヤーの予想を裏切っていく展開は「してやられた」気分になる。そして、最後の最後でド直球の王道展開となるのが実にお見事。ラストバトルは若干ショボいが(後述)、BGMと相まってかなり熱い。 地名やアイテム・キャラクター名の幾つかに何かしら元ネタが存在する。そもそも、タイトルがヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』のもじり。 「サブレ王国」「カスタード王国」「ミルフィーユ王国」などお菓子関連の単語が元になっているものが多いが、金塊を手に入れるために向かう山が「フーリン火山」、温泉のある村の名前が「ゲロベップ温泉」、アイテムを開発している「ナンテンドウ」、体力を大幅に回復させる「ワイン一番絞り」と、元ネタは豊富。 埋蔵金掘りに夢中の「こぴーらいたー」(*2)がいる。 「東京コミックショーZ」という名前のロボットや「カザンオールスターズ」という名前の集団など、今の時代ではまずできないようなはっちゃけたパロディも。 主人公含め登場するキャラの言動も思わずクスリとくるテキストが多い。 村や町には壁新聞があり、ノリはスポーツ新聞の見出し風。ストーリー進行によって内容が変わり、ほんの短期間だけしか表示されない新聞も存在する。 しかも、全てナンバリングされている。そのため、全部読むつもりでいて、ナンバリングが一つ抜けていたりするといい感じに脱力感が味わえる。 どう見ても「軍手」にしか見えないパワーグローブや、いかにも怪しすぎる薬等、アイテムにもツッコミどころが豊富。 エンディングの最後で行われる主人公と姫の従者の会話も非常に有名。 + 終盤~エンディングに関するネタバレ ティラミス姫と魔女マンドラが同一人物であることが物語の最後で判明する。ティラミス姫と結ばれリチャード達を見送った主人公は、最後の最後でどちらが本来の姿かを姫の従者に問うのだが、従者は少しの沈黙の後以下の通り答えるのである。 そのようなコトは どちらでも 同 じ では ありませんか! 印象的なBGM BGM担当はとたけけこと戸高一生氏。おなじみの「けけソング」もある場所で聞ける。 フィールドBGMである「王子の冒険」はゲームボーイのいわゆるピコピコサウンドを生かした軽快な一曲となっており、今なお絶大な人気を誇る。 賛否両論点 ダンジョンにおける、溶岩やトゲといった即死要素。 全体的に難易度が控えめで遊びやすいゲームではあるが、溶岩やトゲのある場面だけは比較的シビアな操作が要求される。 本作ではどこでもセーブ可能なので、難所の手前でセーブしておくことで対策可能。またライフがゼロになっても最後に訪れた町の病院に送られるだけで済む。 主人公だけ、パッケージ絵(栗毛オカッパの美少年)とドット(黒髪坊主の色黒)のグラフィックが似ても似つかない。 困った事に、ゲーム中の言動はドットの方がらしい外見をしている。 問題点 謎解き以外は単調なゲーム性。 オートバトルであるうえに「能力が一定以上なら勝てるが足りないと負ける」というバランスであるために、戦闘中は基本的に眺めているしかない。 ストーリー進行の大半がおつかいイベントであり、RPGとして見ると展開がワンパターンである。この2点はコミカルなストーリーにかなり助けられている。 必要なアイテムが揃わないと先に進めない。 その時点までに必要なすべてのアイテムを集めておかないと敵に勝てないので、何を取り逃しているのかに気づかないとフィールドやダンジョンを何度も捜索することになる。 実は、終盤のボスには例外的な攻略法があるものが多く、ステータス上昇アイテムを全て取らずとも勝利できる。終盤のステータス上昇アイテムは一種のやり込み・収集要素といえる。 変身アイテムは消耗品であり、ダンジョンに用意されているものも数が限られている。足りなくならないように、店で買いだめしておくのが安全である。 ストーリーの進行状況によっては、拠点にしている町の店が利用できなくなる(特にイベントで壊れた店は二度と利用できない)ことにも注意が必要である。 ラスボス戦の戦闘システムが地味。 + ネタバレあり ラスボスが張った回転するバリアの間を縫ってAボタンで攻撃を繰り返す。タイミングは一定かつゆるくダメージは少ないので、まず負けることはない。むしろ、道中の方がきつい。 イベントとして見れば、仲間が集結し真の力を開放した伝説の武器で熱い音楽に乗せて攻撃すると敵が派手な悲鳴を上げる、とても盛り上がる展開。ここに難しいゲームを入れて雰囲気に水を差すことを避けたのかもしれない。 総評 見た目は普通のRPGだが、パロディやジョークがテンポよく挿入されたコミカルなストーリーは面白く、適度な難易度と耳に残るBGMも楽しい。ゲームボーイ初期の作品とは思えない完成度の高いゲームである。 オートバトルやアイテム収集を強制させる自由度の低さが玉に瑕だが、忘れたころに何度もやってみたくなる不思議な魅力がある。 余談 EDで放置すると「See you again」と出るが、残念ながら未だ続編の動きはない。 海外未発売ということもあって任天堂作品の中ではマイナーな本作だが、思い入れのあるスタッフが多いのか、任天堂の他のゲームにゲスト出演をする機会が多い。 + ゲスト出演一覧 『ゼルダの伝説 夢をみる島』(リメイク版にも登場) ライバルのリチャード王子が登場。リチャードのいる場所では本作の「王子の冒険」のアレンジ版が流れる。 『ファイアーエムブレム 紋章の謎』 第二部一章に登場するマリーシアのおばあさんの外見が魔女マンドラに瓜二つである。 『ワリオランドアドバンス ヨーキのお宝』 「軍手」などのアイテムを開発したナンテンドウのアレヲ=シタイン博士が登場。本作ではマサカーチョット工科大学名誉教授の考古学者として行く先々で ワリオに投げられて 活躍する。 『トレード バトル カードヒーロー』『高速カードバトル カードヒーロー』 カードの発売元がナンテンドウ。『高速』によると漢字表記は「何天堂」といういささか間の抜けたものである。 この2作のディレクター(『トレード バトル』)、プロデューサー(『高速』)は本作のシナリオを担当した坂本賀勇氏である。 『大乱闘スマッシュブラザーズX』 主人公のサブレ王国の王子がシールとして登場。ファイターに使うと攻撃上昇と氷結の効果が追加される。 『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』 アシストキャラとして22年ぶりに表舞台に登場。カエルやヘビに変身・ファイターを土煙をあげてポコポコ殴る...と本作のシステムを再現した動き 本作で初めて声がついた。同作のルキナ役・小林ゆうが兼役で演じており、本作のファンからは「非常にかわいらしい」と好評。 「俺の知ってる王子と違う」といったパッケージとドット絵の違いを弄るネタもよく見られた。 続編『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にも引き続きアシストフィギュアとして登場する他、スピリットとしてサブレ王子と共にリチャード王子も登場する。 『大合奏!バンドブラザーズDX』 ある楽器のサンプル音源で「王子の冒険」のフレーズが使われている。『メイドイン俺』でもある条件を満たすとの同曲のアレンジ版レコードが手に入る。 『トモダチコレクション 新生活』 「バイリンガエル」という本作に登場するアイテムが期間限定で配信された。 『Vジャンプ』連載の長寿ゲーム紹介漫画『犬マユゲでいこう』の作者石塚2祐子は本作の大ファンで、発売から十年以上経過しているにもかかわらず本作を作品内でメインに取り上げたことがある。 2024年5月15日より、『ゲームボーイ Nintendo Switch Online』収録ソフトの一つとして配信開始。
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「判定不一致修正依頼」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。 Another Century s Episode R 【あなざーせんちゅりーずえぴそーど あーる】 ジャンル ロボットアクション 対応機種 プレイステーション3 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 フロム・ソフトウェア 発売日 2010年8月19日 定価 8,379円 判定 ゲームバランスが不安定 ポイント 待遇に差がありすぎる参戦作品マクロス無双(悪い意味で)肩透かしのストーリー・薄いクロスオーバーロックオン関連を中心に過去作から劣化した操作系最強の敵「Not Skip Movie」過去のACEと比べてしまうとガッカリゲー『アーマード・コア』ファンへの衝撃のサプライズ Another Century s Episodeシリーズ 概要 発売前 問題点 システム 問題点 作品別の扱い編 シナリオそのものの評価 問題点 演出など 問題点・その他 評価点 総評 概要 前作『Another Century s Episode 3 THE FINAL』で一旦は完結したシリーズから3年ぶりの新作。 本シリーズは『アーマード・コア』のフロム・ソフトウェアと『スーパーロボット大戦』のバンプレスト(後にバンダイナムコゲームスに吸収合併。現在はバンダイナムコエンターテインメントのブランド)がタッグを組んだことで話題になり、多数の作品から集結したロボットをリアルスケールで操れることや、フロム恒例の「OP詐欺」(無論良い意味で)など細部までこだわった作りこみで人気を博した。 本作はA.C.E.シリーズ初のPS3用ソフトとなり、ストーリーや設定も一新されている(*1)。 発売前 PS2で完結したA.C.Eシリーズの最新作。 その一報はゲーム誌に掲載されるやいなや、多くの人々を驚かせた。完結したはずのシリーズの最新作にかつてのファンが喜んだのは勿論、それ以外の層の人々もこのゲームに注目を集めることとなった。 それは、参戦作品が大きくクローズアップされたからである。今までのクロスオーバー系のゲームでは常連とは言えない作品群の参戦に、その作品のファンは大きく心踊らせた。 発表当時、スパロボ未参戦であった『コードギアス』『マクロスF』。据え置きスパロボ未登場だった『フルメタル・パニック!』や、漫画を原作とする『機動戦士クロスボーン・ガンダム』など…。 これらゲームへの露出が少ない作品のファンは歓喜した。しかしシリーズの常連であった『機動戦艦ナデシコ』『ブレンパワード』などのリストラや、ややクオリティの低いグラフィックに不安を感じるファンも少なくなく、そんな多くのファンの期待と不安を集め、この作品は発売された。 問題点 システム この作品は前作から大きく操作法やシステムを変更しており、それによって多くのファンが戸惑うことになった。 歪な難易度曲線 システム周りの変化なども含め、前作のプレイヤーにさえ最初のプレイはEASYが推奨されるというほどの難易度。チュートリアルはあるが、それでも操作法に慣れないプレイヤーたちには最初から大きな重荷となってのしかかる。 問題は、序盤戦となる各作品の導入ステージ。大抵の作品は序盤らしい低難度なのだが一部の作品は難易度設定がおかしく、該当作品のファンは最序盤から苦戦を強いられるハメになる。 最初から多くの雑魚に囲まれ、それを掃討したら自機と相性の悪いボスとの戦いとなるクロスボーン編一話「大地に潜む宇宙海賊」や、いきなりチェイスモード(後述)からスタートし、最後は強力な原作ボスとの一騎打ちとなるマクロスゼロ編一話「マヤンの空」とフルメタ編一話「ワン・ナイト・スタンド」(*2)も初見殺しのオンパレードだが、もっと酷いのはコードギアス編第一話「紅の奇襲作戦」。 ギアス編最初の搭乗機・紅蓮可翔式が格闘向きの機体で使いにくいのに加え、かなりの装甲を誇る戦艦を雑魚の猛攻の中何隻も落とさなければならない。しかも戦艦はパーツを順番に破壊しないと撃墜できないのだが、そのことはプレイヤーには説明されない。 戦艦のロックオン箇所は一箇所のみなのだが、ロックオンサイトは破壊可能な箇所を自動的にロックする。そしてそのパーツを破壊すると次の破壊可能パーツにロックが切り替わる仕様になっているので、初見の人には分かりづらい。当然、既に壊したパーツはいくら殴ってもダメージは通らない。 射撃が弱い紅蓮は必然的に戦艦に格闘を仕掛けることになるのだが、攻撃中は無防備で雑魚に撃たれっぱなし。そして戦艦含む敵を掃討すると原作通りナイトオブラウンズ3人(スザクのランスロット・コンクエスター、ジノのトリスタン、アーニャのモルドレッド)と3対1を強いられる。この中から一体を倒せばいいのだが、前哨戦で削られた体力と不慣れな機体ではそれも苦行である。つまりは初見殺しと高難度の合わせ技であり、どう考えても初心者には辛い。 共通ルートに入ると選べる機体が増えることもあって難易度は落ち着くのだが、その後も、無限湧きの雑魚の集中砲火をかわしながら、味方の旗艦に接近する高耐久の敵戦艦を何隻も撃沈していかなければならない「騎士達の選択」や、選んだルート次第で使用機体が限定される上に、中ボス戦を含む前哨戦の後に初見殺しの大型ボスとの戦いというイヤらしい構成の「秋夜の果て」「二振りの秋水」など、難度の高いミッションが定期的に襲ってくる。 かと思えば、全編チェイスモード、かつ機体の強化具合と選択難易度によってはゲームを完全に放置してもクリアできる「二人の歌姫」や、3体の人型ボスしか出現せず、あるサポート攻撃を使えばあっさりと攻略できる「仮初めの樹」など、難易度の低いミッションがまとまってラストステージ直前に配置されていたりと、全体的に難易度曲線がいびつ。 また、「二人の歌姫」は難易度とは別に大きな問題を抱えている。これに関しては後述。 ロックオンシステムの改悪 操作方式が左スティックで自機を動かし、カメラは常に自機の背後へと移動する方式に変更された。 それに伴い、右スティックでのロック解除 視点操作が廃止され、好きな方向に一瞬で振り向ける快適な操作性が損なわれた。これが序盤からプレイヤーを戸惑わせる要因の一つになっている。 L2ボタンでロックの変更、長押しでロック解除するのだが、敵の大軍の中から一体を選んでロックオンすることは難しい。この作品はマップによるが、敵は『無双シリーズ』のようにウジャウジャ湧いて出てくる。 デフォルトでは敵を捉え次第オートロックするため、ゲームを始めるにあたってまず推奨されるのがオートロックのオフ。これで(多少は)改善される。 また、一部のミッションでは敵の強力な攻撃に応じて「WARNING」の警告とともに、攻撃しようとしている敵へと、プレイヤーの意志に反して強制的にロックオンが移る。この際プレイヤーがダメージを与えられない背景やオブジェクトにロックオンが移ってしまうこともあり、回避はしやすい反面攻撃の後にまたロックオンをやり直す手間がかかる。 ブースト関連の変更 今作ではブースト関連には大きな調整が入り、主な高速移動手段は回避運動を兼ねる「ステップ」と高速で移動する「ハイパーブースト」の二つに分けられた。 しかしどちらの移動手段も少し使いづらさが目立つ仕様になっており、ステップは連続使用回数がパイロットのパラメータで決まるので低レベルだと移動手段には使いにくく、ハイパーブーストは速過ぎる上に小回りがきかず移動中に攻撃することができない。要はどちらも「帯に短し襷に長し」といった塩梅なのだ。 しかもハイパーブーストは「ロックオン対象に向けて移動する」性質があり、好きな方向に移動するには「ブースト開始→方向転換」という手順を踏まなければいけない。ロックを解除すれば好きな方向にハイパーブーストできるが、こちらもロック解除の一手間が入ってしまう。 通常射撃 格闘の弱体化 今作では全体的に通常射撃の威力が低めに設定されており、機体によっては雀の涙程度のダメージしか与えられない物もある。 また、各機体ごとにメイン射撃が「単発」「ボタンホールドで連射」「タイミングよく目押しすることで連射」の三つのタイプに分けられたのだが、この中の「目押し式」が非常に扱いづらい。 肝心の目押しのタイミングがチュートリアルで一切説明もされないし、ゲーム中で目安となるようなものも一切ない。その為プレイしながら感覚で掴むしかなく、中にはタイミングが非常に測り辛い機体もある。 一応「攻撃を発射したすぐ後を目安にボタンを押せ」という説明はあるが、当てはまらない機体も少なくない。 また前述の「ステップ」は左スティック入力+×ボタンで発動するため、目押し連射しながらのステップが非常に厳しい。 また、格闘も前作の○ボタンと□ボタンの組み合わせで変化する方式から、レバー入力やディレイ等を組み込んだ格闘ゲームのコマンド入力のような仕様に変更されている。 コマンド入力が必要な格闘は「激しく動き回るため、相手に妨害されにくい」「多段ヒットし、テンションを一気に稼げる」など性能が高く設定されており、狙って出せるようになると戦術の幅が広がる。ただ、使い勝手のいい格闘を出すのに複雑なコマンドを必要とする機体が多く、咄嗟に狙った格闘を出すには練習と慣れが必要。 例 [↓↑△]→[↑↓D△]→[↓↑△](Dはディレイを表し、上下の矢印は方向キー入力を表す) ハイスピードな戦闘中にこんなコマンドを入力しろと言われるのは厳しいだろう。 かといって格闘連打で出る攻撃はほとんどがその場で連続攻撃するものなので、敵の集中砲火を食らう危険性が高い。 格闘を仕掛けたときに敵も格闘を発動させていた場合、多くの場合こちらが一方的に敵の格闘を食らってしまう。さらにオリジナル敵の幹部が使ってくる大型機も、ある仕様のために格闘攻撃を受け付けにくい(後述)。 また機体の格闘モーションが全体的にもっさり気味に調整されており、旧シリーズに比べると格闘中に横槍をもらう危険性が増加している。動作も緩慢になっておりプレイヤーからは「爽快感に欠ける」と不評。 テンションシステム 今作では初の試みとして各機体の武器から弾数が撤廃され、メイン武器と格闘を除く全ての武器は、専用のゲージ「テンション」を消費して発動する形式に一新された。このシステムもどちらかというと否定的な意見が多い。 テンションを溜める方法はキャラクターによって「敵機にダメージ・撃破で増加」「時間経過で自然増加」に分かれているが、基本的には攻撃で能動的にゲージ溜めができ、上記の多段ヒット格闘でテンションを稼ぎやすい撃破増加系のほうが立ち回りやすい。 ただし撃破増加系は「敵を倒さないとテンションが大きく溜まらない」システム上、ボス戦ではゲージ稼ぎが非常に面倒。多くのボスは取り巻きと同時出現するか破壊可能部位が設定されているためゲージを全く溜められないということはないが、ボスに大技を打ちたければ「前哨戦でテンションを稼ぎ温存しておく」といった工夫が必要となる。 自然増加系は能動的にテンションを溜められないため、大技を出すのに手間がいるという難点が目立つ。ただし、テンション管理の手間が多少省ける点や、撃破増加系とは逆にボス戦、特に後述の大型ボス相手にゲージを利用して立ち回りやすいという利点がある。 システム自体の問題ではないが「マクロス系や各種ガンダムなどリアル系の機体がテンションで武器を撃ち放題になる」というのに違和感がある、という意見もある。 従来は使えない武装でもメイン武装が弾切れだった時やお遊び的な意味で使う余地はあったが、今作ではテンションを消費する関係上使ってもデメリットしか存在しないので、これまで以上に使える武装、使えない武装の差が広がった。 もっとも批判ばかりではなく、「弾数」というものが無くなったことで「テンションさえ貯まれば強力な武器がバンバン使えて楽しい」という擁護・賛成意見もある。 上記の擁護・賛成意見も前作3では「 機体をフル強化した場合に弾数制限が無くなり撃ち放題になる 」仕様があった事を考えると劣化と言わざるを得ない。ゲージ制に変更する事で単調なゲーム性を変えたかったともとれるが、過去作ファンを納得させる出来とは言えず作り込みの甘さが目立つ点でもある。 チェイスモード 機体の操作が簡略化され、3DSTGのような視点と操作方法に変化する特殊モード。 ロックオンなどはなく、ノーロック射撃で敵を撃墜する必要がある。武器は基本の射撃武器しか使えず、飛行形態のある機体はその姿に固定される。 しかし「テンポが悪い」「弾がそれて思うように当たらずイライラする」「思ったよりスピード感がない」と不評が目立つ。特に基本射撃武器の性能が死んでいる機体は苦行でしかない。 その他 これらの仕様に追い打ちをかけるキーコンフィグ設定不可。 クリア済みマップでもそれ以降に取得可能となる機体の使用が解禁されなくなっため、自由度が劣化している。クリアしてどのミッションも選べるようになっても個別シナリオではそちらで定められた機体しか使えず、機体制限のあるミッションの機体制限も撤廃されない。 まあ前哨戦を過ぎてシステムへの理解が深まり、機体も強化できるようになってくると、システムへの愚痴はあれどゲームを楽しめるようになってくる。しかし問題はこれだけではない…。 問題点 作品別の扱い編 クロスオーバー作品の常として参戦作品の扱いには大小の格差があり、参戦作品の優遇・不遇は激しい。 今作は「同じ世界観かつ、離れた時代のキャラの共演」という組み合わせが多い。 + 参戦作品一覧 作品名 操作可能キャラクター オーバーマン・キングゲイナー ゲイナー・サンガ、シンシア・レーン 機動戦士Ζガンダム カミーユ・ビダン、クワトロ・バジーナ、アムロ・レイ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア アムロ・レイ(スポット参戦) 機動戦士クロスボーン・ガンダム キンケドゥ・ナウ、トビア・アロナクス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY キラ・ヤマト、アスラン・ザラ、シン・アスカ 超時空世紀オーガス 桂木桂、オルソン・D・ヴェルヌ、アテナ・ヘンダーソン フルメタル・パニック! 相良宗介、クルツ・ウェーバー、メリッサ・マオ、ボン太くん(『ふもっふ』から参戦) コードギアス 反逆のルルーシュR2 ルルーシュ・ランペルージ(ゼロとして)、紅月カレン、C.C.、枢木スザク 創聖のアクエリオン アポロ、シリウス・ド・アリシア、シルヴィア・ド・アリシアピエール・ヴィエラ、紅麗花、つぐみ・ローゼンマイヤージュン・リー、リーナ・ルーン マクロスゼロ 工藤シン マクロスF 早乙女アルト、ミハエル・ブラン、ルカ・アンジェローニオズマ・リー、カナリア・ベルシュタイン、クラン・クラン スーパーロボット大戦OG マサキ・アンドー、リュウセイ・ダテ、キョウスケ・ナンブ オリジナル オータム・フォー 以下、作品ごとの解説。 マクロスF 今作で最も優遇されている作品。そのため、よく批判の槍玉にあげられる。 他の作品を差し置いて、後半シナリオの実質的な軸となってしまっている。公式ネガキャンとまで言われるほどに超過剰優遇状態。 多くの作品はサブキャラを置いてきたまま異世界に転移してくるのだが(アーガマを置いて転移してきたカミーユたちや、鳥の人と共に転移に巻き込まれたシンなど)、マクロスF勢は母艦であるマクロス・クォーターと共に転移してくる。ここまでならまだわかるのだが…。 とあるミッションで入る「キラッ☆」カットインや、異常に多いボーカル曲の収録数、一作品だけ五話ある個別シナリオなど、前半からすでに優遇の兆候が見せ始める。そして後半… 敵の攻撃で異世界からマクロスFの世界に転移し、原作終盤の再現を丸々やるハメになる。クロスオーバーの調理が上手ければ、前作『A.C.E.3』の「アクシズ落としを阻止する各作品の主人公たち」のような熱いシーンになったかもしれないが、原作のトレースで面白みがない。 このゲーム最大の敵と揶揄される「N.S.M」(後述)もマクロスF絡みの内容なため、批判を加速させた。 NSM程ではないが前述の「キラッ☆」のカットインも、何と戦闘の真っ最中の画面ど真ん中に画面半分を覆う範囲で表示されるため、「戦闘の邪魔」「ウザイ」「イラッ☆」と専らの評判である。 ついでに、機体バリエーションも最も多い。確かに多いことはいいことだが、他に比べて圧倒的すぎる。 ざっと書くと、マクロスFは新生スカル小隊の面々のVF-25が4機+それらのスーパーパック装備バリエーションで4機+アルトとオズマの機体のアーマードパック付きで2機+クァドラン・レア、アーマードクラン、ケーニッヒモンスターで計13機。VF-25のパック装備は基本的に上位互換(ベース機とはほぼ同キャラ)であり、さらに宇宙ステージでしか使えないという制約があるが、コンパチを除いても7機と、参戦機体数としては最も多いことに変わりはない。 少ないところではマクロスゼロが隠し含めて2機、キングゲイナーやスパロボOGが3機。どれだけ多いかおわかりいただけただろうか。 このように単に優遇されるならまだしも、それらが明らかに間違った方向に発揮されており、プレイヤーに悪印象を植え付ける結果となっている。実際プレイヤーからは「ここまで来るとむしろ一種のネガキャン」「制作者はマクロスFが嫌いなのか?」という意見が出ており、前述の「公式ネガキャン」と呼称されるに至った。 マクロスゼロ 同じマクロス世界の物語だが、割を食ったのか空気気味。 スカル小隊隊長、ロイ・フォッカーの不在。登場するのは個別シナリオの最初だけである。オズマとの時を超えたスカル小隊隊長コンビならず。 VF-25のバリエーションの多さに反して、VF-0はゴーストブースター付きの特攻突撃仕様が使えるのは個別シナリオの最初だけで、リアクティブアーマーなどのバリエーション機体にいたっては存在しない。転移した状況が状況なので使えないのは仕方ないことかもしれないが…。 後半で原作を再現した鳥の人との対決シーンがあるのだが、今作の鳥の人は別固体という設定で、サラは不在。シンもそうだが、倒されたイワノフとノーラが不憫でならない。 挙句の果てに、クリア後にはマクロスFの世界に転移してそのままエンディング。シンを彼らしい「飛ぶ」というフレーズを使って励ますアルトとのやり取りや原作にない「サラとの再会」という可能性を提示したエンディングを評価する層もいるものの(*3)、「投げやり」「元の時間軸に戻れないことへの葛藤がない」など、否定的な意見も少なくない。 使用可能機体数は最も少ない隠し込みでもたった2機。また、フォッカー仕様のVF-0Sが使用可能だが、何故かシンが乗る。ただでさえ少ないのに、序盤で使用可能だった特攻突撃仕様を何故スーパーパックのように使用させてくれなかったのだろうか…? スパロボOG 正真正銘の空気。発売前の公式アナウンスで「おまけ程度の参戦」と言われていた通り、原作の敵勢力等は一切登場せず、インターミッションでも数える程しか会話が無いなど、もはやスポット参戦の域に達している。 本作の発表当初は登場する事が伏せられていたが、PV第2弾で登場が明らかとなった。 時系列としては『スーパーロボット大戦OG外伝』と『第2次スーパーロボット大戦OG』の間であり、EDでマサキが『スーパーロボット大戦EX』序盤と同じセリフを発することは、後の展開(『第2次OG』)を予感させるものとなっている。 コードギアス 反逆のルルーシュR2 異世界に飛んでいくのはスザクとルルーシュの和解前、原作の「太平洋 奇襲 作戦」から「神虎 輝く 刻」の期間に当たる。そのためルルーシュとスザクは和解していないが、敵の攻撃により一時休戦協定を結び、旗艦アヴァロンでアーク・アルファに同行する。 でしゃばらない程度に出番は多く、ネタ扱いされがちなルルーシュの有能な面も描写されている。機体もそれなりに網羅しており扱いは決して悪くない。しかし、原作においてその時期には登場していなかった番組後半の主役機、「ランスロット・アルビオン」「紅蓮聖天八極式」の扱いには不評の声が大きい。 原作では、その時点でのスザクとカレンの機体はランスロット・コンクエスターと紅蓮可翔式であり、どのようにして二人が原作後半の乗機に乗り換えるのかは発売前から話題となっていたのだが、その実態は中盤のあるミッション攻略に伴い、自動解禁されるというあまりにあっさりしたもの。ロイドやラクシャータが第9世代の技術に言及することもなく、本当に「使えるようになるだけ」である。この雑すぎる扱いには不評の声が相次いだ。 C.C.最後の乗機、ランスロット・フロンティアも同様に「ミッション攻略で自動解禁」形式。しかし、原作でも特に重要な機体ではなかったため、主役の2機ほど批判されることは少ない。 一応物語の最後はうまく原作とつないだ終わり方になっている。しかし、最終決戦では主人公を差し置いて大活躍しすぎたという意見もある。 また、その終盤ではルルーシュ(ゼロ)の代名詞と言える「ギアス」が活躍するのだが、ギアスを機体(蜃気楼)の視界越しにかけているようにしか見えないシーンがある。ギアスは「相手の目を直接見ないと発動しない」という制約があり、機体のカメラ越しに命令することはできない。原作ではこの制約から「いかに、狙った相手にギアスで命令できる状況に持ち込むか」という策略が重要だったのだが…。 フルメタル・パニック!及びキングゲイナー、超時空世紀オーガス 一応ストーリーの根幹に関わる設定を持っているのだが、やっぱり空気。 オーガスは「特異点という設定を利用するためだけに参戦したのか?」と思ってしまうくらい出番がない。インターミッションでは特異点、特異点と彼らの存在は重要視されるが、いざ本編となるとあまり出番がない。 フルメタも同じく、やや出番薄。途中イベントでテッサとかなめが敵にさらわれ、その時は大きく取り沙汰されるのだが、その後は別のイベントでうやむやになってしまい、オーガスの面々と同じく「かなめのウィスパード設定を利用するために~」と邪推してしまう(*4)。 また、全作品の中で唯一フルメタとOGのみが「一緒に異世界に飛ばされた敵キャラ」がいないため、影の薄さに拍車をかけている。 キングゲイナーも「ブリュンヒルデが時空の歪みに関連する」という着眼点は良かったが、オーガス・フルメタ同様空気感が強い。オーガスの「特異点」やフルメタの「ウィスパード」などのストーリーの根幹に絡む設定が無く、シンシアとの合流も前半で済んでしまうため、先に述べた二作よりも更に存在感がない。 加えてキングゲイナー勢はクロスオーバー期間が作中の前半であり、ゲインの番組中盤からの愛機であるエンペランザが使えず、ガチコは登場するがプレイヤー機としては使えない。ゲインはキングゲイナーの「もう一人の主役」とでも言うべき人気キャラクターであり、プレイアブルで使えないことには不満が多かった。 各ガンダム勢 『SEED DESTINY』は、原作終了後の設定。原作『DESTINY』は非常に混沌とした物語だったので、途中から上手くゲームに組み込むのは難しかったのだろうか? 原作終了後という事でシンは普通に親しくキラやアスランと話している。分かりにくい発言や暴言が綺麗になくなり、まともなキャラになっており概ね好評。 『Ζ』は「キリマンジャロの嵐」のあたり。同話で戦ったヤザンは登場するが、カミーユの名ライバルであるジェリドやラスボス・シロッコは登場せず、人気キャラのハマーン様もいない。 『クロスボーン』は原作における21~23話「緑の激戦地」「大地に死の風は吹くか?」から本作オリジナルの展開へと派生する。そのためクロスボーンガンダムX1は改装済みであり、X1改として参戦している。 やはりというかガンダム勢は全員、見事に空気である。クロスボーンには死の旋風隊との再戦があるが、どうも大きなイベントとしては力不足な感は否めない。 『DESTINY』は先述の通り本編の後なので、敵となるライバルキャラがいない。そのため名無しパイロットのデストロイガンダムがその役を務めている。このため他のガンダム2作品に比べてさらに空気感が強まってしまっている。(*5) ただ、オータム・「フォー」に反応するカミーユやシンの「運命を切り開く」というオリジナル台詞、『クロスボーン』の名台詞をアレンジして引用するなど悪くないものも多い。 原作がストーリーの途中の『Ζ』と『クロスボーン』はうかつに大ボスを出して異世界で決着をつけるわけにはいかなかったのが、つくづく悔やまれる。 余談だが、本作のインタビューで「クワトロは裏切りません」と『スーパーロボット大戦MX』同様に事前アナウンスされたのは有名。 創聖のアクエリオン 設定の根幹に関わり、かつ空気化を免れるというそこそこのポジションに付いた。 原作通りパイロットによって使用できる技が細かく変わるなど、原作再現面も上々。また不動GENは相変わらずの名言メーカーなので原作ファンには嬉しい要素。 シナリオそのものの評価 シナリオは大雑把に言うと 各作品のキャラクターが謎の転移現象により、物語の舞台である「惑星エリア」に集結、オリジナルキャラでこの作品そのものの主人公のポジションにあるオータム・フォーと旗艦アーク・アルファに合流し、この世界の異変を探るという個別シナリオ~前半 黒幕が暗躍し始め、主人公たちは元の世界への帰還手段と打倒黒幕を目指し行動するという中盤 そしてこの星の歴史と黒幕の真の意図を知った主人公たちが敵の攻撃で一旦マクロスの世界に転移、マクロスFのシナリオをなぞった後にラスボスと対決する終盤に分けられる。 正直シナリオは期待するとがっかりするレベルである。この手のクロスオーバーものに付き物な、原作再現シナリオもほとんど存在しない。 ゲームオリジナルの主人公ポジションに当たるオータム・フォーは、記憶喪失の設定を生かしきれていない。劇中でもキャラに「都合のいい記憶喪失」と言われてしまうほど。物語自体がそんなに長くないので、記憶喪失のギミックが生きていないのだ。 具体的には、中盤の記憶回復イベントまでは「主人公たちがピンチになる」→「オータムの記憶と本来の力(の一部)が戻ってピンチを脱出するが、謎を解く手がかりになるような記憶は封印されたまま」という流れを二回ほど繰り返す。 彼女自身は沢城みゆき氏の演技もあって可愛らしい面も多く、魅力的なキャラなのだがシナリオ的には生かしきれていない感が強い。 敵キャラの設定もやや定番気味。いわゆる「テンプレ」気味(武人肌の筋肉男、無邪気で残虐な幼女、コピーである主人公を抹消しようとするオリジナルなど)なのは否めない。それがいいという声もあるが…。 クロスオーバー要素も少ない。ちょくちょく小さなクロスオーバーはするのだが、見物と言えるようなクロスオーバーは殆ど無い。 一応これは「A.C.Eシリーズ自体、ストーリーやクロスオーバーを目的としたゲームではないから」という擁護意見もある。 ただし、シナリオのクオリティはシリーズを追うごとに上がっており、前作『A.C.E.3』はシナリオゲーとしてもそれなりの評価を下せる出来だっただけに、さらなる飛躍を期待したファンをガッカリさせたこともまた事実であった。 + 前作との関連 惑星エリアは「別の世界の地球」からの移民が住んでいた星であったが、アグレッサーと呼ばれる宇宙から攻めてくる敵に悩まされていた。そこでエリアの住民は「ACEシステム」と呼ばれる惑星の防護システムを構築。惑星全体を覆う巨大な外殻とイコンと呼ばれる防衛兵器群を建造、そしてそれを管理する「シーズン」と呼ばれるアンドロイドを作り上げた。 ところが、シーズンたちはある日人類に反乱を起こす。既に人類の創り上げた兵器はシーズンに管理されており、手も足も出なくなった人類は、平行世界へのジャンプを可能とする装置「バルドナ・ドライブ」とそれを搭載した人型兵器「アルファート」、及びその運用のための母艦「アーク・アルファ」、そしてその管理用アンドロイドである「オータム・フォー」を作り上げ「平行世界への脱出」を最後の希望とするも、人類は滅んでしまったのである。 なお、『ACE3』に登場したシステムと同名のバルドナドライブについては原理以外掘り下げられない。原理自体も時空干渉可能な粒子を利用して、転移可能な存在にアクセスして時空間ゲートを開くもので、『ACE3』のバルドナドライブを単機で発動できるようにしたものといえる。住人であるオータムが(記憶喪失状態だが)地球の存在を知らず、この星が地球でない証拠がほとんど提示されないため、『ACE3』とのつながりがあるかは不明である。 唯一、「星の運行などが違う」という証言があるが、この星の天体情報はある理由から当てにならないため、結局詳細は闇の中である。 EDではさりげなくスプリング・ワンだけが生き残っている(機体が写り込む)。『OG外伝』のデスピニスといいSRチームは幼女が好きなのだろうか? 問題点 演出など 演出も十全とは言いがたい。 前作のフルボイスからパートボイスに変更され、アクションパートとその合間のムービーのみにボイスが入るようになった。インターミッションでの会話がボイス無しとなり、この点は単純に前作から劣化している。 グラフィックはせいぜいPS2以上PS3未満レベルで、PS3のスペックを生かしきれていない。 ただ、目につくほど汚いわけではない。オーガスのコクピット内までちゃんと描かれているなど、悪いわけではないのだが…。 ユニットビューアでは味方の機体しか閲覧できない。そのため敵のオーバーマンやKMFなどはさっぱり外見がわからない。3Dモデルの完成度が高いだけに惜し過ぎる。 攻撃演出も全体的に地味。マクロスF系機体の乱れ飛ぶミサイルやΖガンダムの巨大ビームサーベルなどそれなりに派手なものもあるが、過去のACE3部作と比べてもモーションが全体的にもっさりしているのも相まって地味さは拭えない。 特に酷いのが蜃気楼の「拡散構造相転移砲」。原作では「射出したプリズムに向かって蜃気楼がビームを放ち、放ったビームがプリズムで全方位に拡散し同時に多数の敵を撃破する」という蜃気楼を象徴する大技であったはずが、今作では耳障りな金属音めいた音とともに小さい粒弾を一定時間周囲に撒き散らすという原作再現を放り投げたダサい技になってしまっている。全方位に散る粒弾はミサイルのように誘導するわけでもなく、原作初陣のように敵を一掃するなど夢のまた夢である。 各機体には「バースト」という強力な攻撃が搭載されているのだが、エフェクトは通常の射撃とほとんど同じ。実用性という点を考えればそれでも問題はないのだが、あまりに演出がショボすぎて肩透かし。 また、全機体共通でバーストと対をなす格闘系の乱舞必殺技「リミットブレイク」が搭載されているのだが、どの機体も動作がこぢんまりしていたり、派手さや演出に欠け、あまりかっこいいとは言えない。子どもが駄々をこねているようにしか見えないモーションの機体もある。流用も多め。 また、前三部作の目玉の一つだった「コンビネーションアタック」が削除された。 これを引き継ぐように、一部の僚機がサポート攻撃として「マルチショット」を始めとする演出系の技を持つようになったが、これはすべて「プレイヤーのチームが陣形を組み、適当に並んだ敵機を順番に攻撃する」というお粗末なもの。この際、『フルメタ』のASのような地上で活動する機体も敵味方問わず空中に引っ張り出されるため、まるで空中に立っているような不自然極まりない絵面になってしまう。 機体の組み合わせで特殊な攻撃が発動したり演出が入ったりはしない。『A.C.E.3』では原作内で存在した組み合わせはおろか、作品の垣根を越えて特殊な攻撃や演出が発生していた為、それらの削除は多くのプレイヤーを落胆させた。 ゲイナー・レントン・ガロードの「恋する少年達」や、ギンガナムと東方不敗の「Wフィンガー」、フォッカー・アムロ・ホランドの「リーダートリオ」など、原作ファンをクスッとさせるコンビネーションネタが無いのは残念。 他にも「会話のムービーが長々と続いてテンポを阻害する」という問題がある。 アクションゲームでありながらムービー中の会話テキストが下手なSLG並に長く、かつフルボイスで喋るためテンポが非常に悪い。しかもムービー中は敵味方共に棒立ちで会話している事が多いため見た目的にもかなり不自然。後半のムービーは特に顕著。 この点はスパロボでの会話イベントの方式をそのまんまアクションゲームに当て嵌めてしまったが為に、この様な見栄えの悪い出来になってしまったとの推測がある。 「ムービーを見るのは一周目だけ、二周目は作品個別のムービーだけ見てあとは飛ばせばいい」と考えるかもしれない。だが、このゲームはそんなプレイヤーの生ぬるい考えをたやすく否定する。 最強の敵 N.S.M. プレイヤーから「このゲーム最強の敵」と揶揄される「N.S.M」が、上記のプレイヤーの考えの前に立ちふさがる。 これはスキップ不能のムービー「Not Skip Movie」の頭文字と『マクロスF』に登場する民間軍事プロバイダー「S.M.S」をかけたスラングで、即ち「ムービーこそが最強の敵」というネタである。 NSMはゲーム序盤の個別シナリオで出現する他、ゲーム後半でプレイヤーにその牙を向く。 ちなみに当初ネットで使用した際は別にS.M.Sにかけているつもりはまったく無く、余りの酷さに話題に上げまくるものの「Not Skip Movie」といちいち書くのが面倒だったのでただ単に『NSM』と略して書いただけである。 そこから、「何の略だか言われなくても解るのが悲しい」と拡散していき、いつの間にか、響きが似てる 後述の「二人の歌姫」の影響もあってS.M.Sにかけて『N.S.M』と表記されるようになった。 最強(狂)のNSM「二人の歌姫」 最強最悪のN.S.Mとして名高いのは、ゲーム後半のマクロスF最終話を模したミッション「二人の歌姫」。このミッションは全編チェイスモードで構成されているのだが、ミッション開始前やチェイスの合間にムービーが挿入され、それらのムービーは全てスキップできず、とても長い。 それでいてチェイスモードも前述の仕様ゆえストレスが溜まる。他のチェイスモードにはボタン連打で敵の拘束を振り切るシーンがある場合もあるのだが、二人の歌姫にはそれすらない。ステージの難易度ははっきりいって 「一切操作しなくても勝手にクリアできている」 ほど低い。まさに「見て楽しめ」と言わんばかりのステージである。 その癖バトル・ギャラクシーとバジュラ女王は倒せずムービーで処理される。マクロスのステージなのに… それらを全て含めて、このミッションひとつに約13分かかる。軽い食事が済んでしまうし、ちょっとコンビニにだって行ける。それ故、プレイヤーの間ではそれらが正しい攻略法としてネタにされていた。 これが、周回プレイを阻む最大の壁となる。勿論、プレイヤーのやる気を削ぐという意味で。 しかもこのステージには原因不明のフリーズが発生する危険がある。PS3本体にフリーズの条件が依存しているのか、発生する人としない人に分かれたがその報告数は多く、このステージを最強最悪たらしめる一因となってしまっている。 挙句の果てには、トロフィーの入手条件の一つが、このミッションを隠しを含む選択可能な機体「全て」でクリアしろというものがある。全作品合わせて数十機にも及ぶ全ての機体で、である(*6)。当然獲得するとなると凄まじく時間がかかり、しかもステージ自体やる事も少ないため、もはやプレイが苦痛の領域に達する。 一応必須条件ではなく、トロフィーの入手は自由意思なので放置したい人は放置していいのだが…。 ボスキャラに関して シナリオの途中で、オリジナルキャラクターが搭乗する大型ボスと戦う事になるが、攻略法に問題がある。 どの大型ボスも共通して「各部位の弱点を破壊」→「剥き出しになったコアに攻撃を仕掛ける」→「一定時間で部位が復活するので、再び部位を攻撃してコアを攻撃」という手順を繰り返すというアクションゲームにありがちなものなのだが…。 前述した劣悪なロックオンシステムと操作法のお陰で、思うように弱点を狙えずストレスが溜まる。破壊可能な部位が復活することのないジオスタンドコアはともかく、シースタンドコア・エアスタンドコアは破壊可能な部位が一定時間で復活するため、すぐにコアをロックオンできない。 またコアは一定時間経つと閉じられてしまうので、テンションゲージが溜まっていないと機体によっては貧弱な通常射撃でチマチマ削るしかなくこちらもストレスが溜まる。 さらに、この手のボスはコア・部位ともに無限拳、アカシックバスター、サポートアタックなどのムービー付きで攻撃する技は一切効かない。それどころか発動すると演出ムービーだけ流れ、テンションも消費する。 上記二つはプレイヤースキル次第である程度回避可能だが、それとは別の問題として、大型ボスに接触すると大きく弾き飛ばされるという謎の仕様がある(通称トランポリン)。この為格闘が仕掛けにくくなっており、更には多段ヒットするはずの攻撃も何故か1回しかヒットしない。格闘主体の機体で挑むと泣きを見る羽目になる。このシリーズ自体格闘機体への不遇が顕著だったが、ここで更に増してしまった。 敵デザインに関して 当初はいかにも機械然とした敵が、ウィンター配下のイコンのみ生物、特に昆虫を連想させるフォルムになっている。後半に登場する敵の母艦は明らかに昆虫のようなアゴが付いているし、敵もぎょろりとした目玉のついた、昆虫の出来損ないのような敵などが現れる。整合性や世界観はどこに行ったのだろうか…。 これに関しては、「4人いる敵幹部がそれぞれ惑星の別のエリアを支配している」という設定があるものの、他の3名に共通点があってウィンターだけ違うのは奇妙。 + ラスボスのデザイン 敵の中枢である「ACEコア」も、ウィンター配下の機体とは異なるベクトルではあるが後半以前の敵勢力とは全く異なる異形のデザインになっている。その姿は簡単に言えば「円形の胴体の上に彫像のような人間の顔が乗っかった、隻腕の上半身だけの異形」。全身にあしらわれた骸骨めいた意匠も相まって、どう見ても「人類を守るシステムの中枢」には見えない。どちらかと言えばデビルメイクライとかのノリである。 問題点・その他 操作機体について 以前の作品と比べて大幅に少ない。一作目と比べても減少している。 隠し機体は出現条件がすべて周回の総勢14機。しかも、全機体を出そうと思ったら11回NSMと戦わねばならない。 そんな苦労して出した隠し機体も、既存機種のコンパチが半分以上。 例えば「宗介仕様のM9」は「アルとラムダドライバのない劣化アーバレスト」で、「クロスボーンガンダムX1」は「微妙にX1改からパラメータが変わり、スクリューウェッブがシザーアンカーに変わっただけ」。こういう機体が7周目以降も平然と出てくるのである。 かつてのACEだと「敵機体が隠し機体として使える」などのサプライズがあったが、今作にはない。敵機体が使えないのは公式のアナウンスでそれとなく仄めかされてはいたのだが、やはりそういったサプライズがないのは痛い。 機体の格差問題 A.C.Eシリーズ恒例の問題だが、使える機体と使えない機体の差が激しい。 全体的にマクロス・オーガス系のユニットが強力。原因は搭載武装のミサイルで、これが最低のテンション消費(1消費)に見合わない強さを誇るため。 ミサイルは原作通り、多数の敵をロックオンして攻撃できるマルチロック武器だが、単一の敵を複数ロックして発射することで使用テンションに見合わない威力をたたき出せる。このせいで「雑魚を散らしてテンションを稼ぐ→ミサイルを撃つ→ミサイルが敵を撃破してテンションが溜まる→その溜まったテンションでミサイル~」のループが成立してしまう。追尾能力もあるので命中率も高い。 宇宙でしか使えないが、アルト・オズマのアーマードバルキリーに至っては原作通り大量のミサイルを発射できるため、ミサイルのヒット数次第で多くのテンションを回収できる。このため、上記のミサイル無限ループが成立しやすい。 他にも「SEED発動」で機体性能を強化でき、ドラグーンがよろけ属性付きなので人型ボスの行動をほぼ封じてハメ殺し状態にでき、さらにSEED発動中はテンション1で多くの敵を攻撃できるハイマットフルバーストが使えるストライクフリーダム、同じく「オーバースキル・加速」で原作通り自機を強化でき、拡散手投げ弾をフルヒットさせればボスに対してもコンスタントに高火力を発揮できるキングゲイナー、格闘が多段ヒットするおかげでテンションが溜めやすく、必中必殺技のアカシックバスターや範囲攻撃のサイフラッシュを持つサイバスターなど、強い機体はとことん強い。射撃に重きをおいた機体が強い傾向にある。 だが使いものにならない機体や使いにくい機体もまた多く、射撃武器がガンポッドしかなくゴーストも使えないRVF-25(*7)や、あらゆる武器の性能が低水準かつ使いにくい上に耐久力も低いと、隙のない弱さで原作ファンに涙を流させた蜃気楼、格闘は強いが、格闘以外の武装が軒並み弱いか、使いにくいものしかないクロスボーン・ガンダムX3など、使い込もうと思ったらめげない心が必要、とまで言われる機体も少なくない。 アクエリオンは各ベクターマシンを全て出撃させないと合体しない。全機出撃させないとベクターマシンのまま戦うことに(*8)。つまり、アクエリオンを出撃させると僚機なしと同じ状態になる。アクエリオンと同じく異なる3機のマシンが合体する形となる前作の真ゲッターは普通に使えたのに…。 また、各形態ごとにHPが処理される影響で、それぞれの形態のHPが他の機体に比べ明らかに低い。機体が大きく回避しにくいのとあわせて機体が脆い。僚機もなくサポートもないので集中攻撃をうけるとあっという間にHPが減る。 更に、原作ではメインの形態であるはずのソーラーアクエリオンが他の形態に比べ明らかに使いにくい。格闘・メイン射撃ともに使い勝手が悪い。覚醒後に使える無限拳はテンション消費1で必中と強いのだが、覚醒には消費5と大量のテンションを消費する。初期の状態では覚醒するだけで息切れしてしまう。他形態で戦おうにも覚醒後に形態変化すると覚醒は解除されてしまうのでソーラーのまま戦うしかない。 唯一の救いはアクエリオンルナ。メイン射撃の使い勝手が良く、範囲・威力共に優秀なムーンサルトアタックが消費2で使えるため雑魚戦もボス戦も楽に対応できる(*9)。 尚、今回バルキリー系列の機体は三つの形態がどれも癖がある仕様になっており(*10)、形態を使い分ける必要があるのだが普通のユニットの機動特性を、それぞれハンデをつけて三つに分けただけ。それは差別化とは言わない。 また、本作の宇宙ステージは個別シナリオを除くと後半の最終ステージを含む数ステージしかないにもかかわらず、宇宙でしか出撃できない機体がいることにも不満の声が多い。 逆に、ボン太くんは宇宙でも活動可能である。ボン太くんはぬいぐるみのはずなのだが…中の人が宇宙服でも着ているのだろうか? その他 ゲームの進行を阻害したり、ゲームバランスを破壊するような極端なバグはないが、ある条件を満たすことで強化ポイントをMAXに出来てしまう重大なバグがある。 もっともこれは前述のゲームバランスと、操作自体もごく簡単な条件さえ満たせば知っている者なら誰でも簡単に再現できるような代物であるため、概ね「フル強化してゴリ押しで進めるための救済策」として捉えられている。 しかしこれを使用し始めてからフリーズが増えたとの報告も少なくないので油断は禁物。 評価点 シナリオの優遇・不遇はあれど、やはりこれまでのシリーズで登場していない機体を操れることは純粋に嬉しい。 ギアス・フルメタ・オーガスの機体や、SRW出典のサイバスターやアルトアイゼンがフル3Dで操作可能となったのは本作が初。当時ギアスのKMFやフルメタのASが自分の手で操縦できるゲームもこれ一本のみだった。 発売前から危惧されていた問題として「地上戦主体のフルメタ勢や、飛行機能を搭載していないKMFはおいてけぼりにされるんじゃないか?」という問題があったが、一部のミッションを除き、彼ら地上戦主体の機体も独自のアクションを活かしてほぼ飛行可能な機体と対等に渡り合える。 セレクトタイトルの導入 従来のA.C.E.シリーズではストーリーモードが進むごとに機体やパイロットが順次仲間になるシステムだったが、今作ではゲームスタート後に本作に参加する11作品の中から1作品を選択することで、各作品ごとに異なる第1話が開始するようになっている。様々な作品のスタートから集束していくルート展開は、これまでのシリーズと比べて好きな作品でのスタートからプレイできる事から良い評価を得ている。 味方AIの性能向上 前作では、ほぼ空気であったりコンビネーション要因でしかなかった僚機だったが、本作ではボスすら落とすほど積極的に攻撃してくれるようになったため、仲間と共に戦っている感じが強く受けられるようになった。 ボーカル曲はマクロスFのみになってしまっているが、本作にはPS3本体に取り込んである音楽をゲーム中で使用することができるカスタムBGM機能がある。 この機能を使えば実質、好きなBGMで本編を楽しむことが可能。 またオリジナル曲も全体的に良質。例を挙げればメニュー画面(機体選択時)のBGMなどが特に評価が高い。 意外なキャラクター、そして機体が使える。 「ボン太くん」をはじめ、小説版逆襲のシャアにのみ登場する「Hi-νガンダム」、原作では一話限りの活躍だが人気の高い、バルキリーの武装を纏った巨人サイズのクラン・クラン、通称「アーマード・クラン」やキングゲイナーのかつての姿「XAN-斬-」が使用可能。特にXANが操作できるのは現在、本作だけである。 そして、ラストステージではある条件を満たすことでアーマード・コアシリーズからナインボール・セラフが肩に追加パーツを装備してゲストとして登場。さらに条件を満たせばある1ステージのみだがプレイヤーがセラフを操作できる。この手のクロスオーバーゲームへの参戦を全くしてこなかったACシリーズからの予想だにしない隠しキャラは、多くのフロムファンを震撼させた。 セラフ自体に台詞はないが、登場時のウィンターの「行け!イレギュラー共を倒せ!」という台詞からフロムの愛が窺える。(*11) しかも、このセラフはクリアする度に黒い「量産機」のナインボール・セラフが追加されていく。 ボイスが優秀。 序盤しか出番のない端役ですら原作どおりの配役で登場している。声優への演技指導も行き届いているのか、気合の抜けたボイスはない。そのため異なる作品のキャラが一堂に会しているという雰囲気が強く出ている。 前作のACE3では異なる版権キャラ同士が雑多な会話をする事がめっきり減り、ホランドやジャミル等による指示や事後報告が圧倒的に多かったのだが、今作ではSRプロデュースチームが制作に関わった事もあり、シナリオが大幅に増量され、インターミッションや合間のムービーでの掛け合いが増加した。しかし、シナリオの増量と引き換えにインターミッション時に音声が無く、前述の通り合間のムービーが長時間となってしまった問題点もある。 相変わらず、実写調のOPムービーの出来は素晴らしいの一言。主題歌『Re Birth』も重なって非常にカッコいいので、各作品のファンなら必見。 また、慣れればアクションゲームとして普通に楽しめる。破綻している部分はない。 総評 クソゲーではないが、駄作といわれても致し方ない作品。 過去の『A.C.E』を知らないプレイヤーからは「みんなが言うほど悪くない」という意見はちらほら出ており「出来は致命的には悪くないのだが、過去のACEのプレイヤー及びやりこみ派には物足りない出来」という評価が固まりつつある。 癖のあるシステムやNSMや周回プレイへの覚悟さえあれば、ギアスやマクロスFやアクエリオンのファンなら買って損はないかもしれない。 それらの作品以外が好き、あるいはそれらの作品にあまり良い印象を持っていない人にとってはあまり満足できる内容とは言えないかもしれないが、サプライズ参戦したナインボール・セラフのために買うという選択もあるだろう。
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ファミリーコンピュータ ロボット ブロックセット / ジャイロセット 【ふぁみりーこんぴゅーた ろぼっと ぶろっくせっと / じゃいろせっと】 ジャンル 特殊 対応機種 ファミリーコンピュータ メディア 320KbitROMカートリッジ 発売元 任天堂 発売日 1985年7月26日(ロボット ブロックセット)1985年8月13日(ジャイロセット) 定価 9,800円(ロボット)4,800円(ブロックセット)5,800円(ジャイロセット) 判定 なし 概要 ゲーム内容 問題点 評価点 総評 他作品への出演 余談 概要 ファミリーコンピュータ ロボット(*1)の連動ソフト。 画面上から発せられる光信号を読み取って動くロボットをうまく操作し、ゲームをクリアするのが目的。 ゲーム内容 どちらのゲームも、プレイするためには付属のパーツ類をロボットにセットしなければならない。ブロックセットには5個のブロックとそれらを置く台座、ジャイロセットにはコマとそれを回転させるための台座とコントローラーの台座が付属している。 この「画面から発信される光信号を読み取って動く」というシステムは、かつて任天堂がテレビゲーム事業に入る以前に開発を手がけたホテルなどのゲームコーナーのクレー射撃及び『ファミコン光線銃シリーズ』における、 的の方から出る光を手元の銃の方に読み取らせ当たり外れを判定する という仕組みを応用したものである。 ロボットの動き ロボットの動き自体は両作で共通。セレクトボタンを押すと画面が青くなり、この時にA・B・十字ボタンを操作する事で画面が緑色に光って信号を読み取り、それぞれに割り振られた動作を行う。 胴体の左右回転、上下可動(上段・中段・下段の3段階)と保持アームの開閉がそれぞれ割り当てられている。 ブロックセット ブロックを積み替え、崩さずにゲーム上での指示通り配置できたかを競う。プレイヤーはキーボードの上を飛び乗ってロボットへ信号を送る博士を操作する。 極力少ないステップ数でブロックを指定の位置に配置する「DIRECT」、ロボットの操作手順を全て記録してから再生する「MEMORY」、縦横に並んだキーボード上で、ビンゴの如く一列全てを押すことでロボットに命令を与える「BINGO(1P)」、2人対戦用の「BINGO(2P) 」が収録されている。ちなみにBINGOには勝手にキーボード上を動くお邪魔キャラが出てくる。 実はゲーム自体はクリアしたかどうかを認識できないので、スタートボタンを連打すれば簡単にクリアできてしまう。 ジャイロセット アクションゲーム。専用台座にIIコントローラをセットし、A・Bボタンと連動する部分をロボットが持ったコマで押し下げる事で、ゲーム画面上の赤・青のゲートが上下する。 コマは2つ用意されており、ロボットの右側に置いておく台座が、左側にコマを回転させる「コマスピナー」という装置が設置される。ゲームが進むと赤・青両方のゲートを一度に操作する必要のあるステージが登場するため、コマスピナーで回転させた状態でコントローラを押している間にもう一方にもコマを置く操作が要求される(*2)。 練習用の「DIRECT」、スミックと呼ばれる敵から逃げつつ爆弾を全て回収する「GAME A」、右方向に歩き続ける博士をゴール地点まで誘導する「GAME B」が収録されている。 「GAME A」が実質のメイン。画面上にはスミックと呼ばれる敵が存在しており、接触するとミスになる。好物の「カブラ」を用いて足止めすることができる他、ゲート開閉を利用して押しつぶすことも可能。ただし、タイミングが悪いとプレイヤーも潰されてしまう。 プレイヤーはジャンプができないので、高所の爆弾はさらに高所から落下して取るしかない。 問題点 ロボットの動きはあまり褒められたものではない。 一度光信号を受けると取り消せず、すぐにブロックを崩したりジャイロをボタン上に落としてくれないこともよくある。特にアクション重視のジャイロセットにおいては動きが遅いせいでゲート開閉のタイミングが間に合わない時もある。 さらにロボットもコマスピナーも動かすには電池が必要。ACアダプタの類もない。 また、回転しているコマは当然だが時間が経つと回転力が落ちていずれは落っこちてしまうため、動きの遅さがもどかしい。ただ、ロボットを使ってもちゃんと最後までクリア出来るようにはなっている。 どちらのゲームも、ゲーム内容は(他のファミコンソフトと比較しても)かなり薄い。 ブロックセットはスタート連打でクリア可能、ジャイロセットは自分で操作すれば簡単にクリア可能。ロボットとの連動を前提として作られたため仕方がないといえば仕方がないのだが。 評価点 ゲームプレイにロボットを用いるという斬新な発想。 20年以上経過した現在でも、Wiiリモコンの赤外線カメラ(*3)という形で応用されている。 ゲーム自体はあまり褒められたものではないが、簡単な操作でロボットを操作して目的を達成していく過程は、コントローラーで映像の中のキャラクターを操るのとはまた違った、独特な面白さがある。 総評 斬新な発想のゲームではあるが、ロボットと連動したゲームはこの2つだけしか作られなかった。 ロボット操作もあまり受け入れられず、内容が薄かったこともあり、『スーパーマリオブラザーズ』によるファミコンブームが始まる前に姿を消してしまった。 純粋なゲームとしては成功とは言えなかったものの、ソフトとモニターと外部装置との連動により操作するという光線銃を応用した仕組みを活かし、ゲーム機とロボットを繋ぎモニターを介して操作するという本作は、まだ玩具屋というイメージが色濃かった当時の任天堂ならではのユニークな発想にあふれた、まさにおもちゃらしい一品であるといえよう。 他作品への出演 発売から15年以上経った頃、『スターフォックス64(*4)』や『星のカービィ3』『ピクミン2(*5)』などのゲームにたびたび登場するようになり、知名度はかなり上昇した。 サブキャラクターとしてのゲスト出演にとどまらず、『マリオカートDS(*6)』や『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』では、ロボットが何とプレイヤーキャラクターとして参戦。双方のシリーズにおいて初めて周辺機器から参戦したキャラクターとなった。 『スマブラfor』用amiiboとしても発売されている。ある意味、周辺機器として返り咲いた…のかもしれない。 余談 海外ではロボットのカラーがNESと同じ配色に変更されており、ブロックセットは『STACK UP』、ジャイロセットは『GYROMITE』という名称で発売されている。 国内での売り上げはいまいちだったものの、海外では日本以上の売り上げを記録している。この辺りは独創的な発想が受け入れられやすい土壌があるのも関係しているだろう。
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Another Century s Episode Portable 【あなざーせんちゅりーずえぴそーど ぽーたぶる】 ジャンル ロボットアクション 対応機種 プレイステーション・ポータブル 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 フロム・ソフトウェア 発売日 2011年1月13日 定価 6,270円 レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 シリーズファンから不評 ポイント バランスが不安定なゲーム or クソゲーとしての側面もそこかしこどころではない手抜きクロスオーバー皆無シナリオ廃止でただのアナザーセンチュリーに『R』以上に不親切なシステム Another Century s Episodeシリーズ 概要 参戦作品 従来からの追加・変更点 問題点 参戦機体数 演出面 ゲームバランス システム グラフィック 音楽 評価点 総評 余談 概要 様々なアニメ作品のロボットたちを操り、敵を倒していく『Another Century s Episode』シリーズの現時点での最終作で、初の携帯機作品。 前作『R』が大幅なシステム変更など様々な要因により良い評価を受けていなかったことと、過去作の流用がそこかしこに見られる発売前PVから、今作の完成度を不安視するファンは多かった。 参戦作品 + 参戦作品一覧(太字は新規参戦) 蒼き流星SPTレイズナー ブレンパワード リーンの翼 オーバーマンキングゲイナー コードギアス反逆のルルーシュR2 機動戦艦ナデシコ The prince of darkness 聖戦士ダンバイン 重戦機エルガイム 機甲戦記ドラグナー 機動戦士Ζガンダム 機動戦士ガンダム逆襲のシャア 機動新世紀ガンダムX 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz ∀ガンダム 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 機動戦士ガンダム00 VS騎士ラムネ 40炎 マクロスプラス マクロスF 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい 新規参戦作品は『VS騎士ラムネ 40炎』『機動戦士ガンダム00』『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい(*1)』。 従来からの追加・変更点 ストーリーの廃止 今作は様々な作品の入り乱れた世界でのクロスオーバーといったストーリーの要素は無く、多数用意されたミッションを好きな機体でクリアしていくスタイルとなっている。 機体などもすべてミッション内で手に入る「エースポイント」を消費して購入して入手する形式となっている。 パネルカスタム・カスタムアクション 今作は従来の作品であった「ユニット強化」のシステムに加えて、ウエポンパネルとよばれるパネルに好きなアクションを配置していく「パネルカスタムシステム」が搭載された。自分の好きなアクションをパネルに入れてロボットを動かす事が出来る。 「カスタムアクション」はこのウエポンパネルに機体に関係なくセットできるアクションで、「機体の武器弾数回復」などが行える。カスタムアクションは敵を倒す事で入手する「チップ」を集めて作成する必要がある。アクション一つにはコストという値があり、機体のキャパシティという値を超える量のアクションは装備できない。 マルチプレイ 今作はPSPを持ち寄って初の3人協力プレイが可能となっている。 問題点 参戦機体数 異常に少ないだけでなく、原作再現の不完全さや流用などによる手抜きも多い。 『Ζガンダム』や『ガンダムX』、新規参戦作品である『ラムネ 40炎』からは主役機一機のみ。『ドラグナー』は2号機、3号機がリストラされている。 ドラグナーは今までの作品では3機必ず揃っていた為、ドラグナーファンに衝撃を与えた。3人マルチプレイ時に、ドラグナー3機で出現できないのはやはり寂しい。 『エウレカセブン』のニルヴァーシュや『ラムネ 40炎』のカイゼルファイヤーのように2人乗りの機体も主人公一人だけと手を抜いている。 一方でスーパーロボット大戦オリジナル機体のゲシュペンストが15機もあり、それらは武装違いや色違いといったマイナーチェンジである。つまり一機のモデルを15に水増ししている。ゲシュペンスト自体が『1』に出ている機体であるため「流用しているのではないか」という指摘もある。 このゲシュペンスト大量参戦は、よほどゲシュペンストが好きな人間以外からすれば完全に誰得状態で「 こんな事に労力を使うなら別の事に使え 」と言わざるを得ない。 ちなみにこのバリエーションは、後に本家スパロボでちゃっかり使用されている(3種の基本形態のみ。だが結構強い)。 容量確保の為に企画段階で削った可能性もあるが、結果から言えば本作は容量をかなり持て余しており、1.8GBの容量があるUMDで700MB、ダミーデータ等を抜けば500MB程度しか使用されていない。 容量がゲームの楽しさを決めるわけではないが、今作はこれら要因から「手を抜いた」と思われても仕方ないレベル。 演出面 本作はミッション制だが、基本的にオペレーターに「事件です」と言われ出撃、クリア後「おつかれさまでした」と言われまた次のミッションへ……の繰り返しであるため、非常に作業感が強い。 ミッション制と銘打っているが、出現したミッションをすべてクリアしないと先に進めないため、シナリオがないシナリオ制とほとんど変わらない。 そもそも『Another Century s Episode』と言う作品名なのに、作品自体にEpisodeが無いのはいかがなものか。 ただ本作にストーリー(エピソード)が無いことは発売前から告知されており「携帯機でACEができる」「爽快なアクションができる」などの期待から受け入れているプレイヤーも一定数居た。だがそれらのプレイヤーも、下記のシステムの問題点によって結局低評価をつける事になった。 クロスオーバー演出 本作におけるクロスオーバーは、原作の話をそのまま丸写しにしたミッションに別作品の敵量産機が出てくるだけである。 ミッション毎に世界観の説明はあるが文章だけ。年代も世界もバラバラな敵が出てきて、デバッグ用のステージをやっているような印象を受けてしまう。 キャラ同士のクロスオーバーは無く、ただひたすらに淡白であり、ボイスもほとんどないため戦闘中はまったく盛り上がらない。 前作『R』はムービーが最強の敵と揶揄されたが、今作はOPムービーや機体の出撃ムービーすらない。 OPムービーは1作目からクオリティが高く、評判が良かっただけに、ファンを落胆させた。 武装演出 ランスロット・アルビオンのハドロンブラスターは非常に太いビームを撃つ攻撃なのだが、今作では銃口から全方位にわたってモヤっとした臭気のようなエフェクトを放つ技になっている。 さらにガンダムエクシアのトランザムも赤いモヤをまとうだけで機体の色が変わるということはない。 鋭い触手で攻撃してくるボスも、針のように伸ばしたポリゴンフェースで表現している。 敵の攻撃にはステータス異常を付加するものも存在するが、赤いリングがつくだけなど一見してもそれとわからない表現。 ゲームバランス 敵の防御力が非常に高い割りに味方の武装が圧倒的に貧弱。 射撃攻撃は豆鉄砲並みの威力しかなく銃口補正が弱い。このため雑魚にすら30~40発撃ち続けないと撃墜できないミッションもある。連射制限も存在しないため、ボタンを押している間ただ弾を垂れ流すだけになっている。 中にはウイングゼロのツインバスターライフルのように単発の威力は高い射撃攻撃も存在するが、そういった武装は弾数が一桁であるため、後述の補給システムのせいで扱いづらくなっている。 一応一部の機体は攻撃力が高めだったり、あるいは弾数の少ない高火力武器を弾数回復のカスタムアクションでフォローしていけば楽に戦える機体もあるが、ほとんどの機体は終盤は倉庫番になってしまうことも。 このようなバランスになってしまった原因として、「マルチプレイ前提で難易度が組まれているのではないか」という推測がされている。 システム 格闘攻撃 「一定距離に入った敵に一気に近づき打撃を行う」という仕様なのだが、自分で距離感を調節することもできず、命中した際のヒット音がないため攻撃が当たっている実感が全く湧いてこない。敵も同じ仕様のため、いきなり囲まれ袋叩きにされるということもある。 加えて、 武器を振る音が下敷きをしならせたような音 であるため、不自然極まりない。 このおかげで爽快感が皆無で、ただでさえ敵が固い敵がよけいに硬く感じてしまう。 弾数補給システム 前作は「テンション」と呼ばれるゲージで使用できる武器が管理されていたが、今作は武装が弾数制に戻った。 これ自体は評価されているのだが、今作は自動リロードを廃止し、弾切れしたらマップ上にある補給鑑をロックオンして近づいて弾を補給する形に変更されている。弾を補給している間は補給鑑でひたすら待機せねばならずゲームテンポを損ねている。 またその弾数の回復速度が遅い上、補給鑑をロックオンしているため敵が見えず攻撃できない。さらに補給鑑にぴったりと張り付かなければ補給されない仕様で、余計に攻撃を避けるのを困難にしている。 そして補給中も、敵の攻撃は画面外から容赦なく飛んでくるため、余計なダメージを受け続けることになってしまう。 遠隔兵器 νガンダムのフィン・ファンネルのような遠隔兵器は敵に向かって飛ばせなくなり、自機の周りに止まって射撃するという仕様に格下げされている。 武装改造システム廃止 機体性能自体は強化できるが、武器を強化することが出来ない。ミッションのランクが上がるほど敵のHPが増えていくので敵を一撃で処理する手段が無くなっていく。 デフォルトのボタン配置がおかしい。 可変機と天井の問題 『マクロスF』のメサイアや『Zガンダム』のZガンダムといった可変機は、エリアの壁や天井に触れただけで変形が解除されてしまう。 さらに天井が非常に低く、自由に飛び回ることもできない。 慣性 慣性が弱く設定されているため、少しパッドを動かしただけで右へ左へふらついてしまう。 これにより「入っただけでダメージを受けるゾーン」が設定されているステージでは無駄なダメージを受けやすい。 上下回避削除 これにより敵の攻撃がよける手段がパッドを使ったステップのみになり、上下に高速で移動できずスピード感も減少している。 ロックオン 複数の敵がいるときは1→2→3…と順にまわしていく仕様だが、今作はかなり敵が多く出現するため、このロックオンの仕様では狙った敵にロックすることが非常に困難な不親切仕様。 ロックオンの挙動もおかしく、すぐ目の前にいる敵をロックオンしようとして背後の敵にロックオンしてしまう。 エリア移動(今作は戦場が複数のエリアに分かれている)のポイントや前述の補給艦へのロックが敵のロックと差別化されておらず、多くの敵の中から順順に切り替えていかねばならず非常に面倒。 また本作ではエリア移動ポイントや補給ポイントよりも敵機を最優先でロックするため、目の前のエリア移動ポイントをロックしようとしたら遙か彼方の真後ろにいる敵をロックしたなんてこともザラにあり、とにかくストレスが溜まる。 「味方戦艦を守れ」というミッションでもこの仕様のせいで「近い敵から順に攻撃する」ということができず難易度が無駄に上昇している。 結果「最悪」と評された前作のロックオンシステムより遥かに悪くなっている。 一応ロックの優先順位はいじることができるのだが、根本的にダメすぎて焼け石に水状態である。 カスタムアクション 今作の売りであるシステムのはずなのだが、非常に種類が少なく、その中でやれることは全機体同じのため使い分けでプレイヤーの個性を出すということができない。 攻撃系のカスタムアクションは「ガードブレイク」「相手の動きをとめる」といったように効果を付属した通常攻撃でしかなく、エフェクトもパチンコ玉のようで爽快感がほとんど無い。 そのため結局はAP(体力)や弾数を回復するアクションやパワーアップのスキルくらいしか使わなくなる。特に後半のミッションをソロで攻略するのはこれがないとほぼ不可能。 また前述した弾数補給システムの使いづらさから、弾数回復アクションがなければテンポも悪化する。 カスタムアクションを製作するためには、ミッションをクリアして手に入る「チップ」を手に入れる必要があるのだが、いちいち淡白なミッションを何度も攻略して製作する必要があり面倒。 グラフィック フィールドはPS1レベルのグラフィック。まばらな大地に敵がポツポツと突っ立っている状態。 音楽 音楽の出来と音質が非常に悪い。マクロスシリーズのように歌をテーマにする作品であっても全てボイスなしのBGMになっている。 カスタムサウンドトラック機能がついているが、その仕様も不親切。 音楽を変えようとしても、メモステ内ではその音楽の名前は表示されない。そのため、変えたい音楽の番号をゲームオプションをみて記憶し、ゲームを切ってから対応するフォルダの中に入れねばならない。 さらにせっかく音楽を変えても、新たな敵が出てきたりすると勝手に別の音楽に切り替わってしまうため、好きな音楽で通してプレイすることが出来ない。 評価点 機体などのグラフィック フィールドなどは悪いが、機体のグラフィックは別段悪いということはない。 カスタムサウンドトラック 上記のような仕様はあるが、やはり自分の好きな音楽を流せるという利点は大きい。 原作の歌を流して雰囲気を楽しむことはできる。 ブースト周りの改善 『R』で不評だったためか、通常のダッシュが復活し、そのうえで『R』にあったスーパーダッシュも搭載されているため、そこは『R』よりも好評。 シリーズ前作まででリストラになった作品が再参戦している 参戦作品が大きく変化した『R』でのリストラ組や、『3』でいるだけ参戦すらならなかった作品が復活。以前と比べると機体数は減っているが、やはりファンにとってはうれしい。 ただし、レイズナーは強化前、強化型の2種類、ダンバインとビルバインが登場するが、初代エルガイムがいないという偏りもある。 総評 前作『R』はシステムなどは変わり、数多くの不満点こそあれど、「一応」慣れればアクションゲームの楽しさを味わう事は出来た。 しかし今作ではそういったアクションのシステムが「慣れれば面白い」という類いのものではなく「単純に練りこみ不足」といわざるを得ない出来。 原作再現やクロスオーバーといった面にも問題を抱えており、これらの点からシリーズファンからは黒歴史扱いされてしまった。 余談 本作は発表時に既に開発度90%くらいだったという。そのため『R』と同時開発だったのではないかという噂があるが、真相は定かではない。 そのためかダッシュのシステムなど、一部が『R』準拠となっている。 大手通販サイトであるAmazonでは、発売直後から値段が激しく暴落している。
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モンスター烈伝 オレカバトル 【もんすたーれつでん おれかばとる】 ジャンル カードバトルマシン 対応機種 アーケード(WindowsXP embedded) 発売・開発元 コナミデジタルエンタテインメント 稼動開始日 2012年3月14日 料金 1プレイ:100円(記録の鍵も同額) 備考 2022年3月31日にe-amusementサービスを終了 判定 良作 ポイント プレイヤーの数だけ個性が生まれる排出カード豊富なゲストキャラクター 概要 ストーリー システム 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 KONAMIのキッズ向けカードアーケードゲーム。 プレイのたびにカードが成長し、それをプレイ後に印刷・排出することで次のプレイ以降は成長後のカードを使用できる。 悪魔城ドラキュラシリーズや月風魔伝からのゲストキャラクターも存在し、元ネタを知るプレイヤーが思わずニヤリとする演出も。 ストーリー オレカ歴XXX年。魔界から襲来した魔王軍に、王国は壊滅の危機を迎えていた―。そんな中、王国の戦士タンタは1人旅へ出る。魔王軍を倒すための、ドラゴンと仲間を集める旅に!!(コロコロコミック2013年4月号付録 オレカンペキカタログBOOKより引用) システム ターン制コマンドバトル 各モンスターのターンが来るごとにルーレットで技を選んで戦う。 攻撃相手はレバー入力で選択できる。攻撃相手を選べない代わりダメージが強力な技、全体攻撃ができる技など、技の種類は豊富。 基本的に3vs3のバトルで、敵モンスターを全て倒した側が勝利となる。ボスバトルでは3vs1などの形式も取られる。 EX技 いわゆる必殺技。EXゲージがMAXになると発動できるようになり、レバーを下に入れると発動する。 発動するとミニゲームが始まり成果によってミス、通常のEX技、超EX技のどれが出る。 超EXは通常EXよりも強力な効果を見せる上位の技。しかし、中には通常EXと全く異なる効果のモンスターもいて、使い分けによって戦いを有利に運べる。 全てのモンスターにEX技、超EX技が用意されている。 発動できるようになってもすぐ発動しない選択肢も取れる。相手によってはこの選択が大きな意味を成す事も。 モンスターの成長 モンスターは戦闘が終わると勝っても負けてもレベルが上がって能力が強化される。レベルの上限は10。 多くのモンスターはレベル10になると進化して更に強くなる。また、合体のためにレベル10が求められる場合も多い。 そしてコマンドリールの技を更新する提案が行われる。取捨選択を繰り返し、コマンドリールを調整していく事で強いモンスターへと育つ。 記録の鍵 セーブ用のカード。 使って遊ぶとゴールドというゲーム内通貨が手に入る。ゲーム内アイテムの購入に必要。 クエストモードで遊ぶ場合や、オンラインイベントの参加にも必要。 特徴 世界初の印刷式カードアーケードゲーム。 従来のTCAGは出来合い品のカードを排出していたが、本作ではカードをその場で印刷しているのである。 ゲーム内で捕獲・成長させたモンスターを選んでカード化させる。 セーブ用のカードや、モンスターカードには自身の名前が記録される。 コイン非投入時に聞ける「オレのカードでオレカだぜ!」の台詞に恥じない仕様である。 なお、自分とは違う登録名のカードを読み込ませた場合は一定確率で無意味な行動を起こすことがある。 この印刷式カードアーケードゲームという方式は、TCAG界隈に一つの革命を起こした。 評価点 印刷式カードの利点 印刷式カードアーケードゲームという新たに生み出したジャンル 本作の成功がTCAG界に一石を投じ、数々のフォロワーを生み出している。 同じコナミ作品では『ドラゴンコレクション』『オトカドール』『武装神姫アーケード』が同方式を取り入れている。 他社製で有名なところは『プリパラ』『新甲虫王者ムシキング』『アイカツスターズ!』『妖怪ウォッチ ともだちウキウキペディア』『モンスターハンター スピリッツ』『艦これ アーケード』『ポケモンガオーレ』等がある。 TCAG発のゲームから、著名な作品のメディアミックス系ゲームまでもが便乗し、多くがヒットを遂げている事から印刷式カードの発明がアーケードゲームにどれほどの貢献となったかは言うまでもない。間違いなくアーケードゲーム史に残すべき偉業と言えよう。 排出されるカードが在庫に影響されない。 従来はエキスパンションの販売が終了すれば筐体から排出できないのが当たり前であった。しかし、印刷式ならば旧エキスパンションで登場したカードをいつでも排出できる。遅く始めたせいで欲しいキャラを手に入れられなかった、昔のカードのシングルが高騰していて入手が難しいなど、そう言った悲しい思いをしなくて済む。 この点は本作の評価点の一つでもあった。ただし、期間限定モンスターの乱発で折角の評価点に自ら影を落としたのは残念な点。 カードそのものにレアリティの設定がなく、配列などを気にする必要が無い。 おかげで従来のTCAGによく見られた「レアカードが出るまで筐体に居座って購入し続ける」「バイト等がレアカードを抜いて横領したり、逆に店にそのような言い掛かりを付ける客」などの問題行動が発生しない。 他の印刷式ゲームではカードのカテゴリ、希少性をレアリティで表記している物もある。それでも配列が関係ない事は本作と同じで、問題行動の発生源になってはいない。 設置店舗側は在庫リスク問題が低減される。 従来は新エキスパンションが出るたびに「カードの仕入れ」が必要になり、筐体内に入れたままにできない旧エキスパンションは不良在庫となるリスクがあった。印刷式は同じ印刷用紙を使えばよく、不良在庫を抱えるリスクが抑えられる。(参考:用語集/ジャンル/システム#トレーディングカードアーケードゲーム(TCAG)) カードに個性が生まれる。 従来は同じ種類のカードは能力や技などが全て同じカードであった。しかし、印刷式のカードゲームではカード1枚1枚に個性を出せる。例えば本作であれば、自分の名前が刻まれる、育成によってコマンドリールが変わっていく、個体値による能力差が出るなど、同種のカードにも多彩な個性が生まれる。 既存のTCAGでは難しかった「自分のキャラを育てていく」ゲーム性も、印刷式の発明によって開拓されたと言えるだろう。 同じカードを印刷できる。 従来であれば同じカードの入手は引き当てるにしてもシングル買いをするにしてもある程度の金額が必要になり、希少なカードの予備は考えられた物ではなかった。印刷式のゲームは予備のカードを簡単に作れるので紛失や損傷に備えられる。 育成にやり直しがきく。 デジタルな育成要素ではなくアナログのカードが排出されるため、成長前のカードを残しておけばバックアップになる。 ただし、例は多くないものの後述の「早く始めたもの勝ち」問題の原因にもなっている。 キャラクター モンスター達が一体一体丁寧に作り込まれている。 章が解禁されるたびに何十体と数で追加されるモンスター達だが、これだけの数がいるのに一体一体に各場面におけるモーション、そして台詞が細かく整備されていて、その一挙手一投足だけでも楽しませてくれる。カードイラストと3Dレンダリングの差に違和感がないのも地味に凄い。 EX技の発動演出は数あるモーションの中でも作り込まれた出来になっている。迫力のある挙動やカメラワーク、背景の変化など、まさに必殺技の発動を演出している。 既存キャラの色違いやモーションの使い回しも少なからずあるが、それを差し引いてもこの作り込みは評価すべき点であろう。 ゲストキャラクターが不定期に追加されている。 悪魔城ドラキュラのドラキュラやシモンなど。意外なものではSILENT HILL 2の三角頭も登場する。 再現度も高く、例えばシモンのカードイラストはファミコン版のパッケージイラストと同じ地形、同じポーズである。さらに鞭の強化もレベルアップ時のイラスト変化で対応している。 シモンや月風魔でゴエモンに戦いを挑むと「久しぶり」と反応するなどのマニアックなネタもある。 変わったゲストとしては超時空戦闘機がドラゴンになって登場もしている。 あからさまに大きなお友達狙いの要素もちらほら。 前述のゲストキャラクターもそうだが、どうやら大人もターゲットに含まれているようである。 ボスキャラクターの多くは名前がお酒由来。トカイワインを知っている小学生は果たしてどれほどいるものか…。 一部のモンスターは子供向けとは思えないほど性的。 露出が多い、セリフがやたらエロいなどは序の口。一部モンスターはなんと乳揺れも。 お色気狙いのモンスターのみでパーティを組むと貰える専用称号まであったりする。 ゲーム内容 最新エキスパンション有利ではない、計算されたモンスターの強弱。 TCAGでは最新エキスパンションのカードほど有利になるように安易なインフレを起こされがちだが、本作は過去のカードも現役で活躍し続けられるように調整されている。 ぶっ壊れと呼ばれるほど飛び抜けた性能のモンスターも出ているが、他モンスターの活躍の機会を食い潰してはいない。 ただし、トーナメントや大会形式のイベントでは一極化が目立つ。どこのゲームでもありがちな事ではあるが。 モンスターやレアアイテムの獲得が試合結果にほぼ依存しない。 例えば前述のゲストキャラでもあるドラキュラは対策を知らないとあっという間に全滅するが、それでもレアアイテムは出現する。 勝ち目がないようなボスモンスターであってもそれが捕獲可能なモンスターなら負けても入手できるので子どもたちには大好評。 ただし勝った時の方がステータスが良くなるし、レアアイテムも手に入れやすい。 イベント限定モンスターでは勝たなければ手に入らないモンスターもいる。問題点のイベント会場限定は全てそれ。 BGMのクオリティが高い。 主に西木康智、戸田信子が手がけている。 旧作品からのゲスト組にも原作でお馴染みの曲の新規アレンジ版がテーマ曲として用意されている。 特定条件を満たすと原曲にも変更できる。 キッズ向けゲームとしては異例のサウンドトラック発売もされた。 当初はイベント会場限定だったが、2013年9月からはコナミスタイルでも一時期取り扱っていた(2014年5月終売)。 ボーナストラックとして、前述の「ゲストキャラクターのテーマの原曲」も収録されている。 2016年12月7日から着信★うた♪、iTunes Store、Amazon デジタルミュージックストアでデジタル販売が開始された。 賛否両論点 ルーレットの目押しが利かない。しかも露骨な操作が行われる。 技を決める通常のルーレットは「滑る」という次元ではなく、止まる場所とボタンを押したタイミングの関連性が無いレベル。ボタンを連打して最速でルーレットを止めようとすればどれほど不規則に止まるかがよくわかる。 ただランダムであればまだ良かったのだが、体力が有利だったり強いモンスターを連れていたりする側は弱い技が出やすくなるようルーレットの操作が行われている。6個中1個のミスが3~4連続など通常の確率では滅多にあり得ない偏りも多発する。ファンの間では「接戦演出システム」などと呼ばれている。 大人のプレイヤーを中心に批判意見が強いが、キッズ向けとしては操作があった方が親切と好意的にも捉えられる。 このような仕様であるため、本当に強い・使いやすいモンスターを作るなら、一つの技だけで埋め尽くしたリールが目標になる。 いわゆる個体値システムがある。 同じモンスターでも能力値に差が出る。これのおかげで同じモンスターとの再戦に意味が出るし、対戦の奥深さにも一役買っている。しかし、厳選を目指せば多額の金銭を喰われるため賛否両論ある。 後天的に変化はさせられない。 リールの容量にも個体値があり、こちらはステータスのように可視化できないためモンスターによっては確認が困難となる。コマンド潜在と呼ばれる当たりの個体なら作れるリール構成を、育成中のカードでは作れず無念な思いをする事もある。 問題点のイベント限定モンスターにもこれらの個体値システムは適用される。 問題点 説明が少なく、全体的に不親切。 入手方法が複雑なモンスターがいる。「合体で作成したモンスターに更にモンスターやアイテムを合体…を複数セット行う」はまだ優しい方で、「指定モンスターAと特定のアイテムを持った指定モンスターBを合体」のような攻略本を見ないとまずわからない物もたびたび登場している。 後者は処理が複雑なためか、不具合の原因にもなった。特に2章の「古神兵サルベージ」に関する不具合(*1)は対人戦のバランスをも崩壊させた(無論修正済みだが、未修正筐体を大会に使用する店舗がしばらくの間存在した)。 反面、「複雑な条件のモンスターが定期的にほしい」との声も。 説明の何割かは音声で補っている。カード排出時の隠し操作でモンスターやアイテム入手のヒントを聞けるが、環境次第では聞き落とす可能性がある。また、ゲーム終了画面でもモンスターの入手のヒントがイラストで表示されるが部分的に隠される事もあるので情報の質は微妙。 公式サイトに「音量をデフォルトより上げてほしい」との通達があった(現在は削除済み)が、あまり知られていない模様(*2)。 技の効果は実際に使う(使われる)まで効果がわからない。そればかりか非攻撃系の中には使っても効果がわかりにくい物もあり、そうした物は攻略本や攻略サイトに頼らざるを得ない。 テンポ悪化要素がいつまでも改善されない。 詰み状況の発生と降参できない仕様が最たる問題点であろう。アーケードゲームで降参不可能はありがちだが、詰み状況のありえる本作では降参くらいできても良かっただろう。 特にありがちなのはスライム育成における詰み状況。本作ではスライムを合体させるとレベルアップができるので、敵味方をスライムばかりにして戦闘を行うと効率良くレベルが上げられるのだが、スライム系のモンスターは攻撃技を持っていない。これで育てたいキャラが攻撃技を持っていないと互いに攻撃する手段が一切なく、強制的に引き分けになる20ターン終了を待つ破目になる。うっかりによって陥るトラップではあるのだが、多くの人が通った道でもあり改善が求められてきた。 通常の戦闘でも味方が状態異常で攻撃できない、攻撃技を持たないモンスターだけが生き残った等、早くとどめを刺して欲しいにもかかわらず、敵は賛否両論点のルーレット操作の悪影響かミスを繰り返してとどめを刺してくれない事態が起こる。降参させて欲しい物である。 モーションスキップもできない。無駄に長いモーションや、飽きるほど見たモーションが流れる時、単純に素早く回したい時などもあるので、プレイの選択肢としてモーションスキップが用意されていて良かったであろう。 ストーリーの扱いが極端 5章開始前は公式サイトの図鑑ページに掲載されているフレーバーテキストなどの断片的な情報しかなかった。 メインストーリーすら、雑誌付録や一部の攻略本に記載されるにとどまっている。 逆に5章はストーリーが重要視され、ストーリー上のボスの出現条件が他の章以上に厳しくなった。 カットインデモの一部が会話形式になったり、特定のシチュエーションで技や台詞に変化が起きるなどの演出は評価できる 以降は再び5章開始前に近くなるが、一部の主人公や優遇されたキャラはカットインデモが幾つも作られる一方で、不遇なキャラはとことん断片的な情報ばかりになる等、扱いの極端さが増長されている。 WHFなどのイベント限定のモンスターがいる。 イベント限定のモンスターは出現条件を満たし、なおかつ勝利しないと持ち帰れないので思い出の品にはなる。 ただ該当するモンスターがかなり強力なのが問題の一因。手に入れられた人はゲームに有利になるのは当然だが、行きたい人全員が会場に行けるわけではないため、会場限定モンスターにするのは考えが足りていない。 また、敵の設定が強すぎて勝てず、持ち帰れなかった子供も多くいたという。 後に短期間ではあるが全国の筐体で挑戦できるイベントが開催され、入手は緩和されている。 極端に強いモンスターと下方修正の問題。 他のゲームであればバージョンアップによる調整がされれば問題ないのだが、データのバックアップが取れてしまう本作ならではの問題がある。 技そのものにエラッタがかかった場合はともかく、問題は技を修得する容量が調整された場合。このゲームは技コマンドがルーレットになっており、リールには容量の限界がある。大技は当然ながらそのぶん容量を使う。容量が調整される前のカードを持っていた場合、既に覚えた分は調整後もそのままなので「早く始めたもの勝ち」である。 よく取り沙汰されるモンスターは「破壊神マハデーヴァ」、「斉天大聖ソンゴクウ」、「牛魔王」の3体。「破壊神マハデーヴァ」が持つ「ピナーカ」という技は今でも最強と呼べる破壊力を誇る。これが初期の頃はほぼ確実に打てるように育てられたが、容量の下方修正によって大きく制限された。「斉天大聖ソンゴクウ」と「牛魔王」は「七十二変化の術」という技によって他のモンスターの技を使える。臨機応変に立ち回れるおかげでイベントやトーナメントでは環境キャラと化しているが、技コストの変更によってコマンドリールを完璧な形にはできなくなった。しかし、前述のように既に作っていた人には影響が出ないため、現在も一線級の活躍し続けている。まるで新規の参入を拒むかのような改悪である。 技そのものへのエラッタも行われている。 有名どころは「スライム・マナ」や「雷神竜ククルカン」等がおり、愛用者からは怒りや呆れの声が上がった。 コマンドリールの調整の問題。 容量制で自由度が低い。ちょっとでも効率プレイを求め始めるとテンプレ型にせざるを得なくなり、「オレのカードでオレカだぜ!」の商売文句にしては残念に思うところがある。新キャラでも終着点は旧キャラのテンプレ型に近くなりやすい。 容量を気にせずに強い技をなんとなく入れるような遊び方であればそこまで気にならないかもしれない。ただし、前述のイベント限定モンスターや、大会形式のオンラインイベントもあるので、効率育成が求められてしまう場面は多い。2016年に登場したレイドボス形式のイベントキャラは、廃プレイヤーの育成を基準に難易度が調整されている節もあった。 個性の出しづらさに関連して「容量制にしても技の数へ制限を掛けるなどやり方があったのでは?」とも指摘される。 また、コマンドの更新は1プレイで1回だけ、どこに何が来るかはランダムで、望むとおりに育つよう補助するシステムは一切無い。少しの知識があれば残りは運と資金と時間が物を言う世界となっているので、本来のターゲットである子供達にはハイレベルな育成は厳しい。 筐体の故障率が高い。 プリンターの不具合による印刷不良は頻出している。店もメーカーも重く見ていないのか、いつまでも放置されやすい。極一部の限定モンスター(*3)以外は再度カード化できるとは言え、不良品の乱造は気持ちの良い物ではない。 ボタンやレバーの故障も多い。特にボタンの故障率は高い上に、代わりのボタンが中々入荷されないらしく修繕されない事がざら。反応が悪いとEXミニゲームの成功が難しくなると言う形でゲームにも悪影響が出る。 本筐体のボタンは、目を模した形状でライト内蔵、それでいてサイズも大きいなど、製造や備蓄に掛かるコストは想像に難くない。 人気から来る稼働率の高さで劣化を早めているのは確かであるが、ユーザーのモラルが原因の故障も見られる。ボタンが大型で叩きやすいせいか子供達が力一杯に強打・連打はありがち。また、子供や大人に関係なく戦闘の内容やコマンドの提案等への不満をボタンに当たる、ボタンを押したからと言って早くなるわけでもないのに急かすように連打など。フラストレーションが溜まる要素が強いのは確かだが…。 故障原因になりうるユーザーも糾すべき物だが、最も悪いのは改善を行おうとしないメーカーの姿勢だろう。この実状を受けてゲームシステムの改善や、ボタンの強度を向上、製造しやすいボタンに変更などの対応は取れたはずであり、放置し続けた事は怠慢であると断ずる他ない。 印刷式カードの欠点 ソーシャルゲームに近いバランスを招いた。 排出されるカードが出来合い品でない事は必ずしも良い事ばかりではない。希少あるいは強力なカードを獲得するまでの道程に天井が無いのである。その様相は昨今問題視される「電子ガチャ」と同じである。 また、従来のTCAGはレアカードのシングル買いでいきなり強いカードを持って遊べたが、印刷式ゲームは多くが登録名やICカードとの紐付けによって他人のカードの使用を防いでいる。掛けた時間と金額で使用できるカードの幅が決められてしまうのは一概に褒められる要素ではないだろう。 本作はモンスターの入手、軽度な育成であればそこまでの金額は必要としない。しかし、コマンドリールの調整に手を付けると良化待ちがソーシャルゲームにも劣らないガチャゲーとなる。 そして本作ではソーシャルゲームのそれとしか言えないイベントを何度も開催している。全国ランキング制のイベントが期間内にプレイした回数に物を言わせるゲームになっているし、レイドボスイベントに至っては相当頑張って育てていなければ勝利できない…など。 無駄なカードが大量に出る。 従来のTCAGはトレードや中古売買が行えるため、不要なカードも全くの無駄にはならなかった。しかし、印刷式ゲームの多くは他人のカードの使用を防止しているため、カードの買い取りを行うショップは存在しないし、トレードもまず見込めない。そのため不要なカードは廃棄するしかない。 ヤフオク等に出品する人もいないわけではないが、ゲームシステム上推奨される行為ではないし、まともな値も付かないので労力の無駄でもある。 印刷したいカードが無いため同じカードを刷るしかない事も多い。 本作で言えば、既にレベル10でコマンド提案も良くない物ばかりの状況では、持っているのと同じカードを刷らされる。長く続けていればこうして排出される無駄なカードの数は何百を超えていく。率直に言って資源の無駄。 カードの品質。 出来合い品は製造過程において品質がしっかり管理されていたが印刷式ではそうもいかない。 プリンターの不具合で白い線が入る、埃のような映り込みが出るなど、粗悪な印刷が出るのは珍しくない。 本作もそうだがロール紙に印刷する形式は断裁の幅が筐体によって違い、酷い時は数ミリ幅の違いが出る。そのせいで印刷したカードに1つ前に印刷されたカードの片端がくっ付いていたり、カードスリーブに入らないカードが出る。また、ロールされていた名残でカードに反りが出るのもロール紙ならでは欠点と言える。 後から出た他社の印刷式カードアーケードゲームは断裁済みの用紙に印刷するなど、この問題の改善を試みているところもある。 登録名を揃えると二者間でモンスターや所持アイテムを使い回せてしまう。 親子間くらいならいいのだが、問題はネットオークションでこれを利用したカード販売があること。 ヤフオクで「あああああ」や「★★★★★」名義のカードが多く出回っている。 記録の鍵は登録名を揃えるだけでは使い回せないが、カードにデータが保存されるわけではないのでコピーが可能。(ゲーム内で「コピー鍵を作る」という選択肢もある。) 他社作品の中でも『ポケモンガオーレ』や『艦これ アーケード』などはユーザーとの紐付けが無く、トレードや中古売買を可能としている。印刷式の一部問題点の改善が試みられている反面、レア排出率やプレイ単価は悪化している。 総評 ゲーム内で捕獲したモンスターをアナログカードにするという発想は今までにないものである。 1つのボタンを適当に押すだけでも様々な技が出る間口の広さと、ステータス厳選や技習得コストを考慮する必要のある奥の深さが幅広い年齢層を魅了する一因となっている。 カードをその場で刷る関係で絶版がなく、開始時期が遅くても知識さえあれば(イベント限定や期間限定でない限りは)手にすることができるのも間口の広さに貢献していると思われる。 様々なコナミキャラクターが作品の垣根を超えて同じ舞台で戦う様はかの『コナミワイワイワールド』を彷彿とさせる。 余談 間違われがちだが「トレーディングカードアーケードゲーム」ではない。 公式サイトにおけるジャンル表記は「カードバトルマシン」であり、公式的にトレーディングが推奨された事は一度として無い。他人のカードを使用するとデメリットが発生するなど、トレーディング要素は否定されている。 一通りのストーリーを終えた事で末期には新7章など数字ではなくなり、「琥珀」や「焔」など属性に合わせた漢字の「○○の章」に統一されている。 規模を縮小しながらも長く愛され続けてきた本作だが、2022年3月31日をもって到頭、サービス終了となる事が発表された。しかし、3月でサービス開始から満10年を迎え文字通り「十年選手」となる、TCAGジャンルでは中々類を見ない長寿ゲームとなった。 アーケードのサービス終了までアプリ版は新章が追加されないままであったが、それからおよそ1年半後の2023年9月14日に新序章のキャラクターが追加され、現在も定期的に新章のキャラクターが追加されている。 Nintendo Switch用ゲーム『ソロモンプログラム』には本作のキャラクターが一部参戦している。(*4) 本作のゲーム性を引き継いだゲームである『ORE N』がブラウザゲームとして2024年4月15日にサービス開始。『オレカモンスターズ冒険烈伝』や『魔王だゼッ!!』の作画を担当した出水ぽすか氏がキャラクターデザイナーとして参加している他、本作のキャラクターも一部登場することが発表されている。なお、こちらのゲームジャンルは「デジタルトレーディングカードゲーム」となっている。 2024年5月10日に、突如として新作AC『モンスター烈伝 オレカバトル2』が稼働予定であること、既にロケテストが実施されていることが発表された。
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「判定不一致修正依頼」にてクソゲー判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。 アメリカ横断ウルトラクイズ 【あめりかおうだんうるとらくいず】 ジャンル クイズ 対応機種 スーパーファミコン メディア 8MbitROMカートリッジ 発売元 トミー 開発元 元気 発売日 1992年11月20日 定価 8,700円 プレイ人数 1人 判定 ゲームバランスが不安定 クソゲー ポイント 原作再現度は高い鬼畜難易度も原作再現機内クイズが鬼門子供向けどころか大人でも普通に脱落する超絶高難易度見てる分には面白い 日本テレビ関連作品リンク 概要 特徴・評価点 膨大な問題量 原作要素を上手く再現 その他 賛否両論点 問題点 容赦なく牙を剥く3択問題 その他 総評 余談 概要 日本テレビ系列で放送されていたクイズ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を原作としたクイズゲーム。過去にはGBやFCで展開されていたが、本作でSFCにも進出した。トミーのSFCソフト第1弾でもあり、色々な意味でブッ飛んだ内容となっている。一見子供向けのゲームに見えるが、忠実に番組の厳しさを再現した結果、内容は常軌を逸した難易度となっている。セーブもパスワードも用意されてはいないため、腕に覚えがある諸君が本気で挑むならかなりの時間を費やす事を覚悟されたし。なお、難易度はEASYとNORMALが用意されており、NORMALクリア達成者には専用のエンディングが用意されている。(後述) ちなみに実況キャラは実際の司会者である福澤朗とは全くの別人。ただし、熱血キャラは本作の雰囲気とマッチしているのでさほど違和感はない。 冒頭から「ジャストミート」と言っているので福澤氏がモデルであるのは間違いない。 特徴・評価点 膨大な問題量 幅広いジャンルから膨大な問題が出題、まさにウルトラクイズと言える。3択問題・機内30問で遭遇した問題がこちら… + あまりにも膨大なのでクリックで展開 地学 氷河の浸食 U字谷/大陸移動説 プレートテクトニクス/京都のポンポン山/台風は中心付近で風速17m/s 栄養学 豆腐 にがり/うなぎ、人参 ビタミンA/ジャガイモの粉 片栗粉/ウメボシ クエン酸/ビタミンC イチゴ/こんにゃく くじゃく/卵の栄養成分ではないもの ビタミンC/七草がゆ のびるは入れない/味加減 塩加減/ブランデー バルーン/ビール ホップ花/お米の名前 白雪姫/フグの別名 キタマクラ/ドイツ料理で白ワインで煮込むもの 鯉 生物学 絶滅 旅行バト/火くい鳥、ダチョウは足が速い/動物・昆虫 フェロモン/魚 カラス/毒花 スズラン/赤い金魚の赤ちゃん 黒色/フグ毒 テトロドトキシン/アカゲツ アンコウ コビー ピレネー犬/馬の視野 350度/ラクダが飲んだ水 胃/ゴリラのシタベロ 黒/怒ったとき胃液を吐く ラクダ/ツパイ 猿/オナラの主成分 99%は水素 第2の心臓 足の裏/脳と体重の比率 人間とハツカネズミ/カゲロウの卵 うどんげ/食料 アカガエル科/動物と植物の中間的生物 ミドリムシ/金鳳花の別名 馬の足形 天文学 ビッグバン/皆既日食 ノストラダムス7の月/地球 45億年前/月は1ヵ月で地球を回る/白鳥座X-1 ブラックホール/宇宙で最も多い元素 水素/太陽 -26.8等星/ヘビ座 スポーツ アメリカンフットボールのタッチダウン 6点/ラグビー サッカーから始まった/バレーボール用語でないもの タッチダウン/ポロ/マレット レスリング 9m/ボクシングチャンピオンの次 1位/バイアスロン 射撃とスキー/1992年アルベールビル冬のメダル ガラス製/勝ち越し 給金直し/サッカーボールの5角形 12/行司 19歳 地理 仙台市 鹿児島/ヘブライ グループ キブツ/ホットバナナ/タイの国名 自由/仙台の姉妹都市 アカプルコ/アフガニスタン カブール/ワシントンの南 オレゴン/マスカリン諸島 ドードー/国旗 赤/シーボルト 台風 歴史 ボイコット 人名/初めて汽車に乗った日本人 ジョン万次郎/フランス革命 徳川家斉/国定忠治 長岡忠次郎/ガウディ 建築家/風の又三郎 高田又三郎 ハイジャック1号 北朝鮮/写真発明 フランス/鹿鳴館 コンドル/第二次世界大戦時の中立国 スウェーデン/ロシア最後の王朝 ロマノフ 最古の写真 風景/夏目漱石 胃潰瘍/クレオパトラ七世 腕を噛まれて死んだ/イギリス初の核実験 クリスマス島/1989年11月チェコスロバキア プラハ革命 1991年8月19日 レッドマンデー/五重塔 東寺/バルト三国で一番最初に独立 リトアニア/ダイナマイトより先に発明された ミシン 創作 笛吹けども踊らず 聖書/ノアの方舟 アララト山/孫悟空 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ラッコ/アブラカタブラのアブ 父 大相撲の新弟子検査で必要な体重 75Kg以上/チェーンソーの使用などで起こる障害 振動病/火事 バックドラフト/弦楽四重奏の楽器 3種類/新幹線の一本のレールの長さ 1,500m/持ち物預り所 クローク/山にハチマキがかかれば晴れ/ノーランズのCDでカバーされていないの 中森明菜 「日本製のメンソールタバコの賞味期限 7ヶ月」という出題も。タバコを販売している店員でも分からないだろう。 ここまで確認されたがまだまだ全容は未知数である。あまりにも範囲が広く適当に分類するだけでも一苦労という膨大さである。 非常に手間がかかっており、ウルトラクイズの名に恥じないものとなっている。しかし、それが問題点として牙を剥いて来るのは皮肉な話である。 見ての通り、子供向けどころか大人たちにとっても難問ばかりで、ほとんどのプレイヤーは機内クイズで脱落したと思われる。 原作要素を上手く再現 プレイヤー登録 最初に性別を選んで平仮名4文字を入れてキャラを登録して参加する。作中では司会者から頻繁に名前を呼んでもらえる仕様になっている。 名前の入力では裏技も用意されており、特定の名前で始めると色々な事が始まる。 ステージ構成 日本からニューヨークまで色々なステージが用意されており、内容も〇×クイズ、じゃんけん、機内クイズ、ばら撒きクイズ、1対1の早押し対決など実際に行われたものである。 更に本編ではMODE7(*2)を活用したゲームが数多くあり、ボール回転ゲーム、レース、シューティングなどあらゆるゲームが用意。それらを乗り越えたら勿論、ニューヨークでの早押しクイズが待っている。 開始前には一枚絵が用意。熱血野球マン、飛行機からの顔出し、ケンタッキーではカーネルおじさんなど盛りだくさん。そして司会者が場を盛り上げたりルールを説明してくれる。クリアした際は自由の女神の夜景で花火が打ち上がる。更に、序章の30問のクイズの後は、フラダンスで取り囲んでくれたりする演出まで用意。本当の地獄はこれからだ… ステージ4、グアムのどろんこクイズからが本編であり、ここまで到達したプレイヤーには更なる試練が突き付けられる。 以降はサンノゼ、ネバダ、キーウェスト、ケンタッキー、ワシントン、ニューヨークまでの全10ステージで、多彩なゲームが登場する。 音楽 BGMもテレビ番組と同じ曲が使われており、更に各ステージ毎に専用のBGMが用意されている。例えばネバダレースの曲は哀愁とスピード感が見事に調和しており、3Dグラフィックも相まって広大さも表現されている。 音声も使われており、じゃんけんの掛け声や、ばらまきクイズのBGMにはチュッとアクセント、BGMと音声の合せ技も行われている。 細部までのこだわり タイトルでは水面の揺らぎ、司会者は瞬きや口パクを行うが、ルール説明と2択問題では異なる顔グラフィックまで用意されている。ステージクリア後の花火の際はその光が女神に当たった際に照らすなど細かい。 更に、パネル当てでは1枚・2枚・4枚同時と当たった枚数に応じて効果音も違ったり、罰ゲームのモグラ叩きも場所によって背景が異なる。 このように、膨大な出題数では終わらず、素材とその活用の仕方も非常に優れていると言える。 その他 NORMALが難し過ぎるプレイヤーのためにEASYが用意されている。というよりはEASY前提の調整である。 要求正答数が減少したりミニゲームのステージが易化する方向で変化したりする。ただし出される問題の難易度が易しくなるわけではないので、焼け石に水かもしれないが……。 エンディングも充実 EASYクリアでは今度はノーマルにジャストミート!と言われた後に、テレビ画面にスタッフロールが流れる。その後は寝かしつけられてZZZ…子供向けのゲームらしい〆方となっている。 NORMALのエンディング + 一応真のエンディングなので閉じる 司会から優勝賞品の贈呈を告げられて、翌朝行ってみると自由の女神がエンディング曲とともに迎えてくれる。女神の手にはスーパークイズ王になった主人公のためにウルトラライトプレーンが用意されており、これで日本に帰るとの事。出発した後で終わっているが本編をクリアした主人公にとってはウィニングランに違いない。以降はスタッフロールに合流。 賛否両論点 各ステージの対戦要素が薄い GB版2と同じで(一部ステージを除いて)通過人数は考慮されず自分がノルマをクリアすればOKという形式で、他の参加者と競っている感覚は薄め。FC版のように競っている感バリバリのタイプが好きな人には寂しく感じるかもしれない。 司会者の福澤朗から名前を呼んでもらえるのは主人公のみで、他の参加者の名前が出てくる事はない。 ステージ4~ステージ9でゲームオーバーになると罰ゲーム「もぐら叩き」があり、失敗するとどろんこクイズからのやり直しである。 敗者復活を兼ねた罰ゲームがもぐら叩きしかなく、物足りない。先に出ているGB版1やファミコン版では敗退したステージごとに変化があったのだが…。 ただしもぐら叩きの難易度は相当緩く、意図的に叩かなこうとしなければ失敗しない程度のレベル。ステージ9時点のノルマでもタイムに十分余裕がある。 問題点 容赦なく牙を剥く3択問題 機内クイズ 「ゲームドーム 〇×」、「成田 じゃんけん」を越えて来たプレイヤーに立ちはだかる序章の鬼門である。おそらく、本作に挑んだプレイヤーを最も脱落させたパートであろう。 3択問題が30問、矢継ぎ早に出題されるので次々と答えて、正解数が規定の数に達していればクリアというもの。 出てくる問題は先ほど挙げた膨大な問題からである。 答えても正解・不正解に関わらず同じ効果音が鳴るため判別が付かない。しかも最後に正解数も表示されず状況は一切分からないため、正解を覚えて次で活かす事も出来ないのが非常に厄介である。 ボーダーラインが明示されないが、それぞれNORMALで20問・低難易度のEASYですら16問とどちらにしろ50%以上の高い正解率を要求されるので、適当に選んで運良く突破という展開は望まない方がいい。 しかしそれは全てを運に任せた場合の話。確実に正解を選べる問題がいくつかあれば、残りは勘で選んでも突破出来る確率が上がる。EASYなら6~8問程度正解を選べればクリア圏内には入るだろう。 膨大かつマニアックな問題も多く、制限時間も短く矢継ぎ早に来るためにメモを取る暇すらない。これらの厳しい要素が合わさった事により、多くのプレイヤーがEASYクリアすら出来ずに脱落してしまった。 本編 子供向けとしては難しいゲームに、更に3択クイズが加わる。 ゲームが出来ても、クイズで正解できないと制限時間が迫っている中でポイントを減らされたり、一発でゲームオーバーが確定するものがある。 例えば、ネバダレースでは司会が「クイズに正解すればゲージはマンタンだ!」と有利になるような言い方をするが、フルゲージから始めてギリギリ完走出来るようなバランスなので、1問でも外して次のコースへ行くと燃料切れが確定してしまう。 ただしネバダレースは道中ゲージ回復ポイントがいくつかあり、(時間のロスは出るが)その上で停止することで一気にゲージ全快できるという事に気付ければだいぶ楽にはなる。ネバダは5コース目をゴールすればクリア(クイズ正解はゲージ回復のみ作用)なので、一種の救済措置とも言える。 問題も難しく、例えば「アルファベット大文字で逆さにしても同じなのはいくつ?」という問題は制限時間10秒少しで「ADEHIOX」(*3)の7文字を理解しないといけない。 ゲームは勿論クリアできることが最低条件であり、さらにクイズの結果もコースの難易度が変わるなどという生易しいものではなく、確実に正解するのが前提というもの。難しい要素が合わさった事でより厳しさを増している。 ニューヨーク 決勝は3択早押しの一騎討ち。 先に10点先取した方の勝ちで、お手付きは点数を減らされる。マイナス3になったら脱落というもの。 本作のラスボスを務める相手はこちら 名前は、けんいち/けんじ/しんじ/たけふみ/のぶあき/ひでゆき/よしゆき/けいこ/さとみ/なおみ/まなみ等。グラフィックは男性が2種類、女性が1種類。 本編を勝ち抜いて来ただけあって強さはやはり尋常でなく、相手が回答権を得たらその問題は確実に相手の正解になってしまう。つまり相手に10回取られるまでがこのステージのタイムリミットといえる。 稀に問題が1行程度しか表示されていないのに相手が早押ししてくる。幸い10問全てを早押しされることは無いが、理不尽を覚える展開ではある。 最終決戦というためか、このステージのみ負けると敗者復活もなく、どろんこクイズまで戻されてしまう。今までのステージで敗者復活があっただけに油断していると、大幅に戻されることになるので絶望を感じるだろう。 3択クイズの正解が出ない 本作には練習モードもないのでどの様な問題が出てくるのかは実際にゲームで触れるしかないのだが… まず、機内クイズでは正解・不正解などの結果が全く分からないので練習にはならない。 本編でも3択を突き付けられるが外した際の正解は非表示で、残り2択のどちらが正解なのかは不明のまま。 ニューヨークでの早押しでは相手に回答された際は伏せられてしまう。どうせ相手に拾われる問題なのだから正解を示して欲しかったところである。 3択クイズを効果的に覚えられるようなステージは少なく、クイズゲームでおなじみの問題回収はまるで風呂の水をスプーンですくい出すくらいの効率でしかないだろう。 クイズゲームであるのにプレイヤーに正解を覚えさせる気がないのが、本作の致命的な欠点であろう。 その他 多くのゲームについて レースやシューティングなど色々と用意されているが、1つ1つは専門で発売されている作品には敵わずに中途半端なものとなっている。 また前述の通り、難コースと3択クイズを両立させるのがデフォでどちらが欠けてもゲームオーバー確定なので厳しい。 フレンドリーな仕様だったら、パーティーゲームとしての道も開けたかも知れないのに… セーブやパスワード機能がない 凶悪な難易度のためかコンティニューは無制限だが、最初から最後まで通しでやるのは難しい。なお、ニューヨークの決勝で負けるとコンティニューのチャンスすらなく一気に戻されてしまう。 裏技ネームの入力でステージセレクトは可能だが、その場合キャラ名がTOMYで固定されてしまう。さらに裏技ネームには漢字入力が必須で、漢字を使うこと自体がまず裏技なので普通はわからない。 2人プレイがない ニューヨークの早押しを上記のCPUではなく、普通の人間と勝負するモードがあれば良かったという声は多い。 総評 膨大な問題数、多彩なゲーム、素材も数多く用意され、SFC第1作目からMODE7などの機能をフルに活用しているだけではなく、細かいところまで作り込まれている。 しかしながら、多くのプレイヤーは3択クイズに為す術もなく30問の前に散っていき、それらを見る事はなかった。 良作になる可能性を秘めながらクソゲーになってしまった本作に対し、「本当に勿体ないゲームだった」とプレイヤー達は評している。 余談 アメリカ横断ウルトラクイズは同社から1年間隔で、GB版・FC版が発売されている。 なお、FC版では「クイズ真理教」が入信を強要して来るなど、当時ならともかく今となっては笑えない事態になっている… その後は、SS・PSでも発売されている。しかし、いずれにせよ常人が手を出すようなシロモノではない。 ウルトラクイズを題材にしたゲームは他に、1981年に電子ゲーム版(ツクダオリジナル)、1983年にアーケード版(タイトー)、1994年にFM-TOWNS版およびWin/Mac版(富士通パソコンシステムズ)が発売されている。 またボードゲームがトミーから複数発売されている。 トミーは後に、他のクイズ番組もゲーム化しており、『なるほど!ザ・ワールド』では問題数が膨大で難易度も高いが、正解・不正解に関わらず答えが必ず見られるようになっている。 ミニゲームも数多く用意されており逆転を狙えるので最後まで熱い展開が続く、大人数で色々なモードを選べるフレンドリーな仕様であり、パーティーゲームとしてもオススメしたい一品となっている。 SFC第1作目から最難関を突き付けて来たトミーであるが、年をまたいだ3ケ月後に『ウォーリーをさがせ! 絵本の国の大冒険』を発売している。 こちらは本作と対照的に難易度低めのアドベンチャーゲームとなっている。 ステージ1の◎×クイズについて 最初の1問は必ず「自由の女神」に関するクイズとなるが、幾つかの問題パターンはあるが、どの場合でも女神クイズの正解は×で固定である。 この◎×クイズでは◎と×の陣地に移動する為に20秒の制限時間が儲けられているが、コントローラーのSTART+SELECT同時押しすることでタイムを一気に0まで減らすことが可能な隠し要素があり、陣地締め切りまでの待ち時間を短縮出来る。 ただしプレイヤーが陣地に間に合わなければその問題は不正解扱いとなるので注意が必要である。
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ZombiU 【ぞんびゆー】 ジャンル サバイバルホラー 対応機種 Wii U 発売元 ユービーアイソフト 開発元 ユービーアイソフト モンペリエ・スタジオ 発売日 2012年12月8日 定価 パッケージ版 7,180円(税5%込)ダウンロード版 6,480円(税5%込) レーティング CERO D(17才以上対象) 備考 ダウンロード版は2019年4月24日に配信終了 判定 良作 ポイント Wii U GamePadの操作性を最大限に活用した作品任天堂ハードでありながら過激なグロテスク表現Wii U GamePad無しでの評価はそれほど高くない 概要 本作の特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 その後の展開 概要 公式サイトにも「WiiUの為だけに開発されたゾンビゲーム」とされているように、WiiUひいてはWii U GamePadの性能を示すために作られたと言っても過言ではない、WiiUのローンチタイトルの1つでもある。 ユービーアイソフトがWii U GamePadを見て、「これを活かしたゲームを作る」と意気込み、その通りフルに活用するゲームデザインとなった。ゲームとの親和性も抜群でゲームプレイにうまく作用している。 プレイヤーは、ゾンビに支配されたロンドンで奇跡的に生き残っていた生存者となり、プレッパーなる謎の人物に導かれながら、彼とともに協力して生存を果たすことを目指す。 地味に強力なゾンビの襲撃に耐え、物資を集め、プレッパーからの指示を時折聞きながら、このゾンビの巣窟となったロンドンの謎も解明していくことになる。 開発は『レイマン』シリーズのメインデベロッパーとしても知られているユービーアイソフト モンペリエ・スタジオが手掛けている。 以後、Wii U GamePadを「GamePad」と表記する。 本作の特徴 冒頭でも記したが、Wii U GamePadを活用したゲーム性が本ゲームの最大の特徴である。逆に言えばGamePadが存在しなければ凡庸なゾンビゲームと言っても良いくらいである。 主人公は「プレッパーパッド」というタブレット型ツール(見た目はほぼGamePadそのまま)を携帯しており、ゲーム中はこれをフル活用する。 アイテムの操作にはWii U GamePadを使用する。アイテムの使用、装備の変更、資料を読む、生体反応レーダー、手持ちライトのON・OFF等の行動は、全てWii U GamePadに依存している。 ゲームパッドを見るということは、メインとなるテレビ画面からは目を離すことになる。一見鬱陶しい要素だが、アイテムなどを操作している間は周囲を見られないという恐怖は、いつゾンビに襲われるかわからないという臨場感を盛り上げる。 普段、Wii U GamePadにはマップが表示されている。Wii U GamePadの画面をタッチすると発信して、周囲の生体反応の位置を探ることができる。ゲームの途中からはタッチしなくても常時レーダー発信が行われる。 いきなり生体反応を発見し、電子音がなるとなかなか心臓に悪く、ホラーゲームとしての雰囲気作りに貢献している。後半から端末が改良され、常時レーダーを発信するようになるとそれが特に顕著に。 あくまでもゾンビではなく生体反応を探知するので、大量のゾンビかと思いきやただの動物だったり、ゾンビと動物の反応がごっちゃになっていることもある。 レーダーに反応がなければ絶対に安全とは限らず、探知できない高所や狭い穴などから突然ゾンビが出現して、咄嗟の対応が求められることもある。 ゲームパッドでゲーム内のさまざまなものをスキャンして情報を得る、本作のキモともいえる機能がある。 一度スキャンしたものはマップ上に位置が常時表示されるようになる。 開けられる箱などの中にアイテムが入っているかどうか、ゾンビがアイテムを持っているかどうか、どのアイテムを持っているか、などもスキャンすることで簡単に分かる。 『バイオハザード リベレーションズ』のスキャン機能に近いが、こちらはジャイロセンサーに対応しており、より体感的な操作が可能となっている。 各エリアのマップは最初は明らかになっておらず、特定地点にある「監視カメラハブ」をスキャンすることで、一帯のマップが表示されるようになる。そのため自力での探索も必要。 その他、かんぬきを外す、バリケードの撤去、ピッキング、暗証番号操作などもゲームパッドのタッチパネルで操作する。ミニゲーム的な要素ではあるが、これもまたWiiUらしい体感的なゲーム性を演出している。 本作は主人公が何ら戦闘の知識を持っておらず、基本武器はクリケットバットと拳銃のみという貧相さである。ゾンビを突き飛ばすことも出来るが、基本的にはノーダメージ。 メイン武装となるクリケットバットは使用回数に制限がないが、振りが遅く、スタミナを消費するため複数戦には不向き。 銃は威力が高く、ゾンビの手が届かない(一部遠距離攻撃をしてくるゾンビもいるが)位置から攻撃できるが、当然弾数制限があり、リロードも手動であるため、考えなしに使うと泣きを見る。 ゾンビに囲まれて慌てて撃ちまくり弾が切れ、数発空撃ちをしてからリロードの存在を思い出すプレイヤーも多い。パニック映画にありそうなシチュエーションだが、こういったプレイヤーの失念にも計算ずくな部分を思わせる。 手榴弾・発煙筒などの投擲武装もあるが、こちらもそこまでお手軽に使っていけるものではない。 ゾンビサバイバルゲームであるため、基本的には街で手に入るものしか入手することが出来ない。つまり武器・弾薬・その他アイテムなどは一切販売されない。 イベント上物資を売ってくれるという人間に会うことはできるが…。 アイテムを所持できる数は限られており、武器・弾薬・回復その他消費アイテム等をどういう組み合わせでバッグの中に入れるか、新たなアイテムを入手した時にバッグの中が一杯だったらどうするかなど、アイテムの取捨選択を考える必要がある。(*1) 武器は特定の地点でカスタマイズすることが可能。 主人公は死ぬと、ストーリーの進行度を引き継いでどんどん新しい主人公に交代していく。性別・名前・職業なども全て異なるが、キャラの性能差は無く、警官などでも性能は同じ。 新しい主人公のゲームで、前回の主人公の死亡地点まで行くと、前回の主人公がゾンビとなって登場する。 この前主人公ゾンビを倒せば、前主人公が死亡時に持っていた所持品を回収できる。『デモンズソウル』の血痕と似たようなシステムである。 主人公が交代すると、各マップのランダム配置アイテムも新たに配置し直される。 非同期オンラインに対応している。これもまた『デモンズソウル』のようなシステムといえば分かりやすいか。 プレイヤーのキャラが死ぬと、ゾンビとなって他のプレイヤーのゲームに登場する。この他プレイヤーゾンビを倒せば、そのゾンビが死亡時に持っていた所持品を入手できる。 これによって先に他プレイヤーに倒されても、自分のデータに残っているプレイヤーゾンビが消えることはない。 フィールドの壁や地面にスプレー缶でメッセージを残すことができる。メッセージは他のプレイヤーからも見ることができ、危険を事前に知らせるなど攻略のヒントになったりする。 ちなみに、公式からの告知もこの機能を利用して行われたりしている。 他プレイヤーのメッセージに対して「信用するな!」という評価を送信することも可能。この評価数でメッセージの信用度をある程度判断できる。 ロンドン各地はマンホールを通じて繋がっており、一度発見したマンホールは簡易移動手段として自由に行き来できるようになる。 評価点 DSの二画面とは異なる、Wii U GamePadの魅力を味わう事ができる。 特に仕掛けを作動・解除させるパートや、スナイピングはかなり楽しく、スナイピングは実際に敵を狙撃しているようにプレイ可能。Wii U GamePadの画面に目を移した矢先に、一定条件でWii U GamePadの画面一杯にゾンビの顔が表示される等、Wii U GamePadならではのドッキリ要素もる。 慣れない内の難易度は比較的高め。 ゾンビの噛み付きは即死攻撃で、当然ながら全ゾンビが使用するため、操作に不慣れなプレイヤーを序盤から殺しにかかってくる。 基本的に電気がストップしたり照明が消えているところが多く、手持ちのライトを使わないと殆ど前が見えない。ライトは充電式であり、使い続けると充電が切れて消灯するため、電気を一度切ってバッテリーを回復させる等、こまめな管理が必要。 アイテムの入手手段は限られているため、無闇に使用できずサバイバル感を堪能できる。特に弾薬は序盤では枯渇しやすい。かといってケチケチしていると倉庫にも入りきらなくなるので、消費していく事も大事。 特に最高難易度「サバイバル」は、死ぬとデータが消されるというレトロゲームのような仕様なので、プレイにはそれなりのスキルが必要。 一方でゲームに慣れれば慣れるほど難易度は下がっていく。詳しくは後述。 非同期オンラインは上手く機能しており、複数の生存者がいるという世界観の演出も含めて面白さに一役買っている。 臨場感の演出はかなり高いクオリティ。 ゾンビゲームやアクションゲームに慣れていない人は、特にゲーム内のプレイヤーキャラクターと状況がマッチングするため楽しめる。 ゾンビに囲まれた、追い詰められた時にバットを振るとプレイヤーキャラが声を震わせたり、喚きながらバットを振るので、プレイヤーの焦燥感も煽られる。 ローカライズが丁寧。 前面に出されていないが、吹き替え声優はゲーム中で一番声を聞くだろうプレッパー役の大川透氏を始め、地味に豪華である。 ゾンビを迎え撃つ生存者側と、ゾンビをあてがうゾンビ側に分かれて勝負するマルチプレイモードがあるのだが、これが中々に面白い。 生存者側は配置された物資を上手く利用・配分してゾンビを迎撃し、ゾンビ側は手持ちにある数種のゾンビを生存者の状況によって的確な場所に配置していく。 生存者側とゾンビ側それぞれプレイヤーに求められる駆け引きのスキルが異なり、これ単体でも結構遊べる。 惜しむらくはバリエーションに乏しい事、オンライン非対応でリアルで2人いないと遊べない事、別途コントローラが必要な事だろうか…。 賛否両論点 Wii U GamePad自体癖のあるコントローラなので、かなり人を選ぶ。 アイテム操作だけでなく、スナイパーライフルによるスナイピング等、ほとんどの操作がWii U GamePadのみに依存している。この手の体感型操作が苦手な人は勿論として、そうでない人ですらも煩わしさを感じる事もある。 WiiUのゲームのほとんどはWii U GamePad単体でもプレイできるが、本作はテレビとWii U GamePadのUIが分けられているため実質的に不可能である。 洋ゲーなのでかなりグロい。 ゾンビゲームなので当然ではあるのだが、近年の任天堂ハードで発売されたゲームの中でもかなり過激でグロテスクな表現がされている。実はこれでもまだマシな方であり、海外のオリジナル版は欠損したゾンビの頭から脳が見える等、更に過激な表現だった。 テレビ画面とWii U GamePadを交互に見るという都合上、どうしても「ゲーム」から「現実」に意識が引き戻されやすい。 Wii U GamePadを扱うのは面白い遊びではあるものの、一つの画面だけに集中する他のゲームに比べて、没入感や恐怖感で劣る面もある。 ゲームが上手い人がやるほど臨場感がなくなってしまう。 特に恐怖感に関してはグロに頼っている部分があるため、ホラーゲームを遊び慣れた人には物足りない。 主人公は何の変哲もない一般人であり、一般人が災厄から生き残るというゲームであるため、Wii U GamePadでせっかく演出した危機的状況の臨場感も、手慣れた上級者がプレイするとそれが全て死んだ形になってしまうという妙な状況に陥る。 ある程度ゲームに慣れたプレイヤーにとっては、アイテム管理や仕掛けの解除などで「Wii U GamePadの画面を見なければいけない」という仕様が恐怖感の演出に繋がるという事はあまりない。 付近の敵に襲われるかもしれない状況ではアイテム操作のためにWii U GamePadを見たり等と迂闊な事はしない。戦闘中の装備切り替えもワンタッチで一瞬で行えるので、テレビ画面から目を離す事もほぼない。 謎解きなどでWii U GamePadの画面を見続けて操作する必要がある場面でも、テレビ画面を一瞬でもチラ見すれば背後の状況は確認できるので、「Wii U GamePadの画面だけ見ていたら不意に襲われた」ということはない。そのチラ見しないといけないという点が売りではあるが。 無限湧きにハマって追われている時、Wii U GamePadの操作を要することになったりすると結構冷や冷やしたりはする。 問題点 ゲームバランス・レベルデザインの問題 本作の高難易度は、画面の暗さ・操作性・仕様の不便さ等に起因しているものが多く、ゾンビとの戦闘難度自体はかなり大味である。 背中にガスボンベを背負ったゾンビ以外は、1対1の状況であればクリケットバットでしばくだけで一方的に倒す事ができる。一発毎に確定で怯むため、後述のワープゾンビ、高火力のオーラゾンビ、高耐久のアーマーゾンビ等、いずれもバットのみで処理可能。 バットを使わずとも、ゾンビの背後から前述の突き飛ばしをして転倒させ、顔面踏み砕きのコンボ…とやればゾンビは即死する。この場合だとガスボンベゾンビすらも処理できる。要は囲まれるような状況でなければ、容易にノーダメージで対処できるのである。むしろ簡単に処理できるからといってバットや踏み砕きを多用しすぎると、中盤以降で物資が有り余る事になってしまいやすい。 勿論ゾンビに囲まれる状況には注意する必要があるが、敵を引き付ける消費アイテム「発煙筒」が比較的多く入手できる。 しかもこの発煙筒、投げるとプレイヤーが目の前にいようが強制的にゾンビを引き付けるという不自然なまでの誘導性を誇る。発煙筒と範囲攻撃の火炎瓶・地雷・グレネード等を組み合わせれば、敵の群れや囲まれる事態にも十分に対処できる。 銃器を使うにしても、デフォルトでエイムアシストがオンなので、意図的に切らなければ簡単にヘッドショットを狙う事ができる。 ゾンビの噛み付きによる即死は脅威ではあるが、それすらも中盤以降は「抗ウイルス剤」によって簡単に回避できるようになる。このあたりから操作にも慣れてくるため、梯子や閉所での不意打ち、ガスボンベゾンビによる爆発事故以外ではそうそう死ななくなる。 つまりは「序盤こそ難しいが以降は簡単」という難易度となっているため、慣れるとゾンビとの戦闘が消化試合になってしまいやすい。 ゲーム内の武器性能とレベルデザインが合っていない。 2番目に入手できるライフル「モデル4カービン」が、最序盤で入手する銃器にしてはかなり扱い辛い性能になっている。命中精度が低く、1発毎にコッキングをするため発射速度も低い。そのわりには初期ハンドガンより高い程度の威力しかない。 この銃器の入手と同時期に新たなタイプのゾンビが出てくる事もあり、初見プレイヤーが迂闊に使うと確実に痛い目を見る。 アサルトライフルやサブマシンガンは、弾薬を多く消費するタイプの銃器でありながら、道中で手に入る弾薬があまりにも少ない。 その分高めの火力に設定されており、一部はサプレッサーも装備しているが、わざわざ他の銃器を差し置いてまで使う意義は薄い。 マグナムに至っては、アサルト/サブ以上に弾薬入手量が少なく、難易度によっては全体を通して数発入手できるか否かというレベル。 それでいて威力はモデル770カービン以下。こちらの方が入手時期・弾薬入手量共に優れ、狙撃も可能なので立つ瀬が全く無い。 一方でクロスボウは、消音・入手時期が早い・低めの威力なのに何故かヘッドショットで雑魚ゾンビが即死する、と強力すぎる。 おまけにゾンビに射た矢を確実に回収できるため弾保ちも異常に良く、更にスコープまで装備。明らかに頭一つ抜けている。 使いどころが見出しにくい、存在意義が薄いアイテム 「木の板」は扉に打ち付けてバリケードにするアイテムだが、敵の襲撃に備える、または逃げる必要のある場面が数える程度しかない。「どこでそのような場面に遭遇するか」も予測し難いため活用機会が見出しづらいので貴重なアイテム欄を圧迫してまで持っておく利点は皆無。 作ったバリケードを除去すると木の板もなくなってしまうので再利用は不可能。適当な扉に打ち付けておけばいいというものでもない。 「地雷」は攻撃力が高く、敵に見つかる前に予め設置しておき、上手く敵を設置場所に誘導できれば複数の敵を撃破できる。 しかし、初回プレイでは敵がいつどこで出現するか分からず、一度設置したら回収して再度設置する事もできないため、正直使い辛い。また、設置したらエリア切り替えで消滅してしまうため、「敵の出現ポイントに予め仕掛けておこう」といったプレイもできない。しかも回収できないどころか自分が接近しても爆発する。自分の設置した地雷にゾンビごと吹っ飛ばされたプレイヤーも多いだろう。 マップの至るところに、箱・棚・引き出し等の所謂「コンテナ類」が配置されているが、これらに所持品を入れる事ができない。 物資を預けられるコンテナは隠れ家にしかない(*2)ため、アイテム欄が埋まるといちいち徒歩で戻る必要がある(一応近道はあるが)。 コンテナの許容量は30枠と多いように思えるが、本作は弾薬以外のアイテムは何であろうと1つ1枠なので、中盤以降は全く足りない。このためアイテム管理とそれに伴う移動の煩わしさが目立つと同時に、シェルターの存在意義・そこで休む必要性が薄れてしまっている。 また、隠れ家以外のコンテナ類に物資を預けられない事について、ゲーム的な説明は一切ない。誰かに奪われるかもしれないから…という事なのかもしれないが、隠れ家内のコンテナ類にも預けられないのはどうしたものか。 マップ上のコンテナ類は、固定配置を除き基本的に全てカラ。ランダムで中身が湧く事もあるが、それも本当にごく一部である(*3)。 それでいてコンテナ類は、調べた際に「カメラアングルが何者かの第三者視点になる」という素晴らしい演出が施されている。 こんな良い演出が施されていながら、ゲーム的な要素・システムとして活かせていないのは本当にもったいなさすぎる。 序盤で「拠点である隠れ家が多数のゾンビに襲撃される」という、スリルのある展開が発生するが、その後は…。 + 一応ネタバレ注意 最終盤の特殊イベントを除けば、通常のゲーム中はこの1回しか襲撃イベントは起きない。 一度襲撃を受けた後は、隠れ家に帰還する度に突然の襲撃を受けないかとヒヤヒヤさせられるが、杞憂に終わる。今後の襲撃に備えてバリケードを作っておこうなどとしても無駄に終わる(最終盤のイベントでは敵を迎撃するよりもさっさと先に進んだ方が良い)。 隠れ家は、余りがちな「木の板」や「地雷」などを倉庫にストックしたり、倉庫から取り出して襲撃に備えやすい絶好の場所なのに、襲撃が1回しか起きないというのは勿体ない。 如何にも敵襲を受けそうな場所で、「地雷・バリケードで備えておくか」と思っても、結局何も起きないという期待外れな事になる。 「急いで逃げろ」「立ち止まらずに走れ」等と言われる場面でも、実際には急がずにゾンビを迎撃して数を減らした方が安全である。制限時間等はなく、ゾンビの数も1か所を除き有限。というか急かされている最中に隠れ家に帰ってぐっすり寝ても全く問題ない。 全主人公共通の初期装備である「ライト」「クリケットバット」「ハンドガン(L9A1)」を手放す事ができない。ゲーム進行に必要なライト、格闘に必要なバットは兎も角、ハンドガンは他の銃器と取り換えたい事もあるのだが。これのせいでインベントリを圧迫し、デザートイーグルとP226が日の目を見ない事になってしまっている。 銃器のカスタマイズは、各銃器毎に各カスタマイズパーツを1回ずつしか使用できないという、自由度が低く底の浅いシステム。 中盤以降はパーツの入手機会がかなり増える上に、先述の通りほぼ使わない銃器も少なからずあるため、何かとパーツを余らせやすい。 銃器の種類はそこそこあるわりに、近接武器はクリケットバット1種だけというのは流石に物足りない。後述の移植版では近接攻撃用武器が2つ追加されたが、例によってこの2つもクリケットバットとの取り換え不可。 ゲームとしての完成度 本作はWii U GamePadの操作性とその最適化が評価される一方で、ゲーム自体の完成度はお世辞にも高いとは言えない。 本作のダッシュ機能は左スティックを「押す」ではなく「押し続ける」になっており、とても操作しづらい。そのくせキーコンフィグで弄る事はできない…というか、本作にはそもそもキーコンフィグ自体が存在しない。 あるのは右/左利き・Y軸反転・振動の設定程度である。2012年発売のFPSとしては些かお粗末と言わざるを得ない。 UI(ユーザーインターフェース)も正直微妙で、特にインベントリ関連は作りがかなり粗い。 コンテナからアイテムを取り出す際は前詰めだが、インベントリのアイテムを消費した際は虫食い穴になる。このためゲーム中に消費と拾得を繰り返していると、様々なアイテムでどんどんインベントリ内が散らかっていく。 それでいてアイテムのソート機能は自動・任意共になし。7年前の『バイオハザード4』ですらアイテム整理できたのだが。 弾薬の所持数とリロードタイミングによっては、所持弾薬が「弾薬x9・弾薬x1」と個別に枠を取ってしまう事がある。 ソート機能がなく組み合わせもできないため、これが発生するといちいち捨てて拾い直すという面倒な手順を踏む羽目に。 ちなみにコンテナに預ける場合、自動で加算されてこのような現象は起こらない。仕様が不統一なのもいただけない。 フロアに設置されたジャミング装置(仮称)によって、その周辺ではスキャナーが使用できなくなるというギミックがある。 しかし、使用不可になった事を示唆する描写、及びそれを破壊して再使用可能なった事を示唆する演出等は一切存在しない。プレイヤーからすれば、突然ボタンが利かなくなり、不具合で使用不可になったと勘違いしても仕方ないだろう。 そもそもこの装置自体、作中で一切触れられない。プレッパーは何も言及せず、資料等にも情報がなく、完全にノータッチ。勿論こういったギミック自体は特に問題のない要素ではあるが、流石にゲームとしての表現力が足りなさすぎる。 ちなみにこのジャミング装置があるフロアでは、「ゾンビ対策に」という理由で多数の地雷が撒かれている。地雷を設置するのはいいとしても、そこにジャミング装置を設置してわざわざ設置場所を隠蔽する必要性が分からない。ゾンビがスキャナーを使用して地雷の設置場所を判別する、とでも思っているのだろうか。 ゲーム中、狭いダクト等の中をしゃがんで進むシーンがそこそこの頻度で存在する。この最中は攻撃はおろか、何故かスキャナーを使用する事もインベントリを開く事もできなくなる。歩きオンリー。にも拘わらず、しゃがみが要求させる狭い空間で普通に敵が出てくる。せめて銃撃くらいはさせてくれても…。 大小様々な不具合の存在。 テクスチャが点滅する・光源が地形を貫通するといった視覚的なものから、ゲーム進行が不可能になる不具合まで多数存在する。本作は主人公が死亡した際にオートセーブされる仕様のため、進行不可能になったデータだともう取り返しがつかなくなる。 フラグ管理もかなり甘く、ブレッパーの台詞やプレイヤーを驚かすSEが、イベント前に発生する事もある。再現性も高い。恐らくこのフラグ管理の甘さが原因で、イベント進行や画面左上のダイヤログに不具合が発生するものと推測される。終盤の「最終シークエンス」はフラグ管理が特に杜撰で、特定エリアをまるまるすっ飛ばしてショートカットできてしまう。 アップデートによってある程度は修正されているが、パフォーマンス関係やフリーズ等、修正されなかったものも多い。 その他の作りこみの甘い点。 終盤で流れる一部のBGMにループ設定がされておらず、緊迫したBGMが突如途切れて無音になる。 一般的なゲームの作りとして、「特定の箇所を通り過ぎると○○が発生する」という処理が存在する。幾つかの場所では、これに「1回のみ」という設定がされておらず、該当箇所を通り過ぎる度に何度も効果音が発生する。 全体的にカーソル移動音や決定音が少なく、入力できているか分かりづらい(武器改造や暗証番号入力等が顕著)。 エリアとエリアを繋ぐ通路は、ほぼ全て同じ作りの流用である。敵は一切おらず、アイテムが落ちている事も殆どない。この流用のせいで、街中の地下の至るところに地下鉄の改札口があるというおかしな現象が発生している。 スキャナーは反応しているも、実際には地形や床に埋もれていてアイテムが拾えない事がある。中盤までのエリアでよく発生する。 本作はインベントリを開く、またはゾンビの死体等を調べる際に、必ず「しゃがむ」というモーションが発生するが、しゃがみモーション中に地形等と衝突すると、開く/調べるの入力がキャンセルされる事がある。その上、頻度が高く煩わしい。 特にロンドン塔砂浜の箱は、何かが引っ掛かって開けられず中身を入手できないようになっており、デバッグ不足が窺える。ちなみに水に浮かんだ死体を調べる場合は、このしゃがむモーションは発生しない。 数は多くはないものの、ムービーはスキップ不可。一応エンドクレジットとその後のムービーだけはスキップできるが。 後述の移植版(PS4/One/Win)は、画面右下にミニマップが表示される仕様だが、このマップに問題点が非常に多い。 ミニマップは地形は黒、それ以外は透過で表示されている。そして本作は暗いロケーションが非常に多い。そのため、「地形は黒でそれ以外は透過」と「暗いロケーション」が悪い意味で噛み合い、とにかく見辛くなっている。ライトを点けても焼け石に水であり、明るさ調整で光度を上げ、部屋を暗くして蒸発現象を抑えるしかない。 この手のサバイバルホラーには大抵ある、メニュー等で確認可能な、切り替えや縮小等ができる詳細なマップ機能がない。他のエリア・階層の確認等も不可能、あくまで自分のいるフロアしか表示されず、探索ゲーとしてはかなり融通が利かない。画面右下での表示なため、決して大きく見やすいとも言えない。メニューで確認可能な大きな地図が欲しかったところである。そもそもこのミニマップ、北を意味するNマーク、またはそれを示唆するアイコンすらも存在しない。 一部エリアでマップとカメラ操作が同期されない、テクスチャと同じく点滅する等、例によってこのミニマップにも不具合が多い。 ストーリー・ゾンビ関連 ストーリーは正直あって無いようなもの。投げっぱなしな部分がある他、そもそも描写不足で分からないという事も多い。プレッパー等の本筋関連はそれとなく分かるようにはなっているが、それもプレイヤー側でかなり考察・想像してやるしかない。 「あって無いようなもの」と思われる最大の理由は、本作がパートボイスな事にある。2012年のゲームでまさかの仕様。各登場人物、特にプレッパーは最初と最後以外に音声がない。序盤に突如音声が切れ、そして終盤に突然喋るようになっている。それ以外は画面上に字幕が表示されるだけ。入力操作で余裕がない時もあるため、ストーリーがこちらの頭に入ってこないのである。 それでいて各所に落ちている文書や、ストーリーの大筋に関係のないアリーナ等には、ボイスがばっちり設定されている。演出の良いアリーナはまだしも、主だった台詞や会話を差し置いてまで文書・手紙にボイスを付ける必要性がイマイチ分からない。 途中でヒッチコックの『鳥』ばりにカラスの大群が救助ヘリに飛びかかって、主人公の脱出が阻止されるという謎の展開がある。 が、カラスが害をなす存在として描かれるのは後にも先にもこの場面のみ。なぜこの時に限って邪魔をしたのかも謎なので展開が不可解。 クライマックスは構成・展開がおかしく、盛り上がりに欠ける。 「今から脱出するぞ」という最後局面に向かうところで、唐突に淡白なムービーとエンドロールが延々と流れ、唖然とさせられる。そして非常に長いエンドロールが終わり、プレイヤーのテンションがだだ下がった後に、改めてゲームの最終局面がスタートする。しかしエンドロールで流れが中断された事、場面が飛びすぎている事(*4)もあって、イマイチ盛り上がりに欠ける。ボスや強敵等も特になし。 脱出方法は「ロンドン塔上部でヘリに救助してもらう」というもので、これは前述のカラスの大群にヘリが襲撃云々と全く同じ展開。しかし何故か今回はカラスは邪魔してこず、軍が何かしらカラス対策をしたのかどうかも不明。説明不足を通り越して超展開である。 エンディングもあっさりし過ぎていており、世界観はその後どうなったか等のエピローグもなく、ゲームクリアの達成感が薄い。 本作は普通のゾンビの他、酸を飛ばす・周囲のゾンビを復活させる等、特殊な能力を持つゾンビが複数登場する。 しかしゲーム中の文書・資料等で、これらのゾンビが掘り下げられる事はなく、プレイヤーが知るすべは一切存在しない。どういった変異をしたのか、普通のゾンビと違うのは何が原因か、そういった情報はない。プレッパー等も殆ど言及しない。ゾンビのゲームであり、作品タイトルも直球の『ゾンビ』なのに、それらの情報を作中で知り得ないのでは物足りなさ過ぎる。 そもそもの話、本作はタイトル通りゾンビを題材にしたゲームであるが、その割には登場するゾンビがたったの6種類という少なさ。他サバイバルホラーに登場するような、ゾンビ化した様々なクリーチャーは一切おらず、それどころかボス戦すらも存在しない。特殊なイベント戦等も少なく、ゾンビが登場する他作品のような内容を期待すると肩透かしを食らう。 幼稚園で初登場する通称「ワープゾンビ」が特に酷い。意味深な存在感を放っているが、最後まで謎の存在のままゲームが終了する。 登場場所と撃破後に同じ容姿の首吊り死体があるため、正体は音声記録を残した保母だと推測…と思いきや、実はただのオブジェクト(*5)。さらに後半、2体出現するため特定の個人ではない事が確定。ここまでなら特にキャラクター設定のないただのモブ敵で片付くのだが…。 終盤にもう一度このゾンビの接近を感知する。プレイヤーは出現を警戒しながら進む事になり、そして扉の前で後ろ姿を発見する。この時はすぐに消えるが3体目が襲ってくるのは確実だろう。プレイヤーは覚悟を決めて歩みを進め…もう出てきません! 登場人物も当然のようにこのゾンビについては言及せず結局謎なまま、推理する材料も無いのでどうしようもない。ストーリー的にちゃんとした設定を持っているキャラクターなのかどうかも分からない。何故最後にこのような描写を入れたのか? ついでに言えば、別に終盤でなくても、ヘリ墜落以降のロンドン塔地下に行けば普通に出現する。お前マジでなんなんだよ! その他の問題点 主人公が交代する度に、新しい主人公は毎回プレッパーパッドやハンドガン等の初期装備一式を持っていて、ストーリーの進行度も引き継いでいるという設定はやや不自然。 主人公の交代や非同期オンラインのシステムの都合上、ロンドンには複数の生存者が生き残っているという設定だが、その割には「現在の主人公」以外の生存者を発見することはほとんどなく、隠れ家には主人公一人以外に誰もいないというのも不自然。 クリケットバットで叩くと必ず頭部ヒットとなり頭が砕ける。当たりどころは一切関係無い。プレッパーに「頭をねらえ」と言われているとはいえ、明らかに当たってないように見えてもヒットは全て頭になってしまう。 同期によるオンラインプレイが存在しない。 オフマルチプレイは存在するが、オンラインで複数のゾンビからみんなで生き残るモードがあっても良かったのではとよく言われる。また、前述の隠れ家防衛戦のような、多数のゾンビに対処する戦闘重視のモードが欲しかったという声もある。 総評 粗削りな部分も多いものの、非常に意欲的なゲーム内容であり、Wii U GamePadを活かしたゲームソフトとしてあげられることが多いソフトである。 一方、高い評価を受けてはいるが、WiiU本体の評価・売れ行きは今一つであり、任天堂が特に支持を受けているファミリー層に受けなかった。 さらに、Wii U GamePadに依存したゲーム性(*6)という不遇が重なり、売り上げは芳しくなかった 一部の問題点は今後シリーズ化した時に改善出来そうな部分であり、続編を望む声も少なくはなかった。 だが、ユービーアイソフトは「(ノウハウは今後活かしたいが)売れなかったので続編は作りません」という趣旨のコメントを残しているため、残念ながら続編が開発される見込みは薄い。 光るものがありつつ活かしきれなかったところ、惜しい作品であった。 余談 体験版のステージのチョイスが明らかに間違っている。 その場所というのが、ゲーム中もっとも怖い+難易度が高いと言われている幼稚園ステージ。 一番のびっくりポイントと言われているイベントもそこで消化されるため、体験版後に本編プレイをすると白ける。 もっとも、他のステージはほとんどがかなり開けた場所の為、建物内でなおかつ広さ的に丁度良いのが、この幼稚園しかなかったとも言える。 先述のようにセールスこそ芳しくはなかったものの、ユービーアイソフトのEMEAマネジメントディレクターであるアラン・コルレ氏は後年、ゲームニュースサイトであるPolygonのインタビューで「『ZombiU』はユービーアイソフトにとっても学びの多い作品だった。特にゲームプレイにおいてはWii U GamePadをセカンドスクリーンとして活用した非同期型のゲームプレイを初めて実現した作品のひとつでもある。この経験があったからこそ、『Watch Dogs』のようなゲームを作ることができた。」旨を述べている。 この発言から見ても全くの無駄ではなかったことは十分窺えるだろう。 実はユービーアイソフトが創立して最初に作ったゲームは『Zombi』というタイトルだったことが、発売当時に任天堂が行った公式インタビューで明らかとなっている。 その後の展開 PS4/One/Winへの移植版『ZOMBI』が2015年8月19日に発売された。移植は『Mass Effect 3』のWiiU移植版や『Deus Ex Human Revolution Director s Cut』のWiiU版を手掛けたオーストラリアのStraight Rightが担当。 近接攻撃用の武器として「シャベル」と「釘バット」が追加された。 ローカライズは日本語テキストのみ。日本語音声は削除され、デフォルト音声は英語になった(*7)。 非同期オンライン要素は削除され、完全にオフラインプレイ専用となった。 トロフィー(PS4)・実績(One)・Steam実績(Win)が追加された。 欠損表現が海外版と同等に。そのためか、レーティングがCERO D(17歳以上対象)からCERO Z(18歳以上のみ対象)に引き上げられた。 なお、Win版はUBISOFT Connectを介してのプレイとなる為、Steamで購入してもUBISOFT Connectのアカウントとリンクさせる必要がある点に注意。 + Win版についての注意 Windows 10環境ではゲーム起動直後のメーカーロゴムービー後、ソフトが落ちるというトラブルが出ている。これはゲームプログラム自体の証明書が古く、起動時にユービーアイソフトのサーバーとの認証を弾いてしまうことが原因。方法として実行ファイルである「zombie.exe」をWindows Defenderもしくはセキュリティソフトのファイアーウォール設定で「通信を許可しない」設定にすることで回避できる(*8)。 オプション設定で言語設定やグラフィック設定を変更した場合は1回ゲームを終了させて、ゲームを再起動しないと反映されない。 2019年4月19日、ユービーアイソフトの日本公式サイトにて、国内ニンテンドーeショップで販売中のダウンロード版『ZombiU』の配信を4月24日に終了することが報じられた。 実際は本作を含め『Watch Dogs』『ラビッツランド』『ASSASSIN S CREED III』等合計9作品のWiiU版が同日に配信終了の対象となっており、これらの配信終了によりユービーアイソフトがWiiU向けに発売した全タイトルのダウンロード配信が終了となった(*9)。